10/15/08

公的資金の投入2

わが国の金融危機のときには、円の大量供給とゼロ金利の組み合わせでしたし、今回のアメリカでの金融危機でも、世界中の解決策として議論されているのは公的資金投入策あるいは金融調節一辺倒です。

公的資金投入政策とは、増税で民間市場から資金を吸収してこれを不良資産購入資金等に当てるのではなく、九分九厘は国債発行等紙幣増発による筈です。

これを海外勢に買ってもらいたいと思っても、海外・・日本や中国の巨額外貨準備といっても、ドル紙幣で持っているのではなく、その殆どをアメリカ国債やGSEなど公社債を買って既にアメリカに還流済みですから、(一部ユーロ保有もしていますが・・・)アメリカ国債をこれ以上買い増す余力はありません。

経常収支黒字額以上に、無理してドルを買わされるとドル相場はジリジリと高騰していきます。

アメリカは、各国にドルを供給してアメリカ国債を買ってもらうのでしょうか?

諸外国がアメリカの財務省証券などを買い増し出来るのは、理論的には今後の経常収支の黒字分に限られますから、(その上、わが国では、資源高騰によって8月分だったか、2〜30年ぶりの貿易赤字を記録しています)微々たるものです。

それどころか、今回GSE破綻騒動で怖い思いをしたので、出来ればドル保有比率を減らしたい国ばかりでしょう。

国外資金での国債引き受けが期待薄とすれば、(上記のように無理にアメリカ国債を買わせれば別ですが・・・実際ドル相場はは強含みです)これをもしもアメリカ国内だけで始末するには、国内引き受け者が必要です。

アメリカ国内金融機関は、資金不足で軒並み公的資金注入を期待している状況だからこそ、今回の事態になっているのですから、アメリカ国内でこれを引き受けられる金融機関はありえません。

結局は7000億ドル(+これまで個別救済額の合計が約1、8兆ドルとも言われています)相当分を日本の金融危機時と同様に中央銀行による国債引き受けしかなくなるのでしょう。

そうなると1、8兆ドル相当分の新たな紙幣が市場に出回ることになります。

以上のように、不景気が来るたびに、金融当局は紙幣増発をする結果になっているのですが、プラザ合意以降日本の場合、国民には(当時はもっと少なかったとしても・・・)現在1500兆円とも言われる十分な金融資産がある時代ですから、市場に資金を流出させても市民の需要喚起のために資金不足を解消する意味あいは全くありません。

消費者はサブプライムローンで分かるように支払い能力に対して債務超過の結果、この危機が起きたのですから、もっと貸してやるといわれても、さし当たり債務払いができる・・破綻の先送りになるだけですし、企業は、資金はあっても、売り上げ見通しが立たないから新規投資が見合わせらられているのです。

現在資金不足・・ショートを起こしているのは、不良債権を抱えた金融機関・証券会社等であって、実物市場ではないからです。

先進諸外国の個人金融資産保有状態を具体的には知りませんが、先進国経済はおおむね似たり寄ったりで金融資産超過状態・・純債権国であり、後進国が余剰資金の受け入れ役・・純債務国になっていることは趨勢として間違いのないところでしょう。

ただしアメリカだけは、資本受入国・・純債務国に転落していて、経済状況は後進国並み経済と言われています。(私の感想だけかもしれませんが・・・)

ですから、アメリカは資金引き上げを恐れて・・これが始まるとアジア通貨危機と同じ局面が発生しかねませんので、不景気でも日本のように低金利政策を続けられない弱みがあるのです。

・・・ただし、そのときはアメリカにとってはドルは自国通貨ですから、ドル紙幣を無制限に増刷できますが・・・・大変な副作用が起きるでしょう。

 



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002 - 2010 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC