10/15/08
公的資金の投入先1
先進国では、これまで書いているように、いまさらインフレ政策を取りたくとも経済・実社会が言うことを聞かないとすれば、支払い能力と債権額がイコールになるまで債権が評価減に見舞われるのは仕方がないことですし、どんな策を弄しても評価減は、支払い能力の線まで行き着くしかない筈です。
ただ、政治に求められているのは、激変緩和策を編み出せるかどうかだけでしょう。
ここ4〜5日旅行していたので、昨日までのコラムは大分前に書いておいたものですが、この間10月10日(金曜日)に行われたG7会合による経済環境の変化に少し触れておきましょう。
週明けの世界市場は、「断固たる処置を取る」と言う、G7の共同声明に対する御祝儀相場で大幅上昇しましたが、ここで必要なのは「断固たる処置」の内容です。
イギリスは、この具体化として国内銀行に対する大規模な資本注入を発表しましたが、世界中のGDPの何倍にも膨らんだ金融資産=負債を現在の評価で凍結・安定させるには、そのアンバランス分と同額の紙幣発行=投入が必要です。
繰り返しますが、今回の金融危機は支払い能力を超えた金融債権を創造してきた咎めがでて、その超過分だけ不良債権化→債権の評価減=銀行を含む金融関係者の資産劣化が進んでいるのですから、この進行性の癌を押しとどめるには、医師にうまいものを食わせるのではなく、支払い側=債務者に、栄養をつける・・紙幣を与えない限り、不良資産問題は解決しないのです。
支払い能力不足が、債権の不良化→債権の評価減・・金融システムの崩壊の危機状態を現出している元凶であるならば、時間がかかっても支払い能力を強化するのが筋・・王道です。
焦げ付き多発で損をした債権者=銀行などが騒いでいるからと言って、債権者の損失穴埋め用に公的資金を与えるのは、本末転倒でしょう。
銀行は、信用創造機能によって預金の何倍もの貸付をしていて、それの焦げ付きによる資金ショートを起こしているのですが、評価減が行き着くところまで行き債権額と支払い能力の均衡点に達した後ならば、短期的な資金ショート解消策として、短期金融市場への各国中央銀行による連日のドル資金供給や、資本毀損分の穴埋めとしての公的資金供給で何とかなるのです。
しかし、金融機関が貸し付けた債務者のデフォルトによる損失拡大は、支払い側=債務者の支払い能力を何とかしない限り、まだ収まってはいない・・これからも進行中なのです。
言うならば、出血が収まった後にショック死しないようにする輸血ならば意味がありますが、まだ不良債権の評価減が進行中・・金融機関の損失拡大はこれからも続くのですから、資金ショート回避のための公的資金の投入は際限がないことになります。
このやり方ですと、損失が出る都度公的資金の追加投入になりますから、いうならば、際限のない状態が続き、そのうち政府自体が破綻してしまうでしょう。
何しろ総債務=債権は、世界のGDPの何倍にも上っているほど膨らんでいると言うのです。
すでに、一国単位で見れば、アイスランドが自国のGDP を超える銀行の国有化でたちまちにデフォルトに追い込まれましたが、規模の違いがあるだけでアメリカもその他欧州諸国もみな同じです。
今回のアメリカの金融危機対策でもそうですが、今でも大不況が来ると公的資金の投入=結局は紙幣増発による解決策が基本です。
これは従来供給力不足時代に需要喚起方法で成功した体験を、社会経済状況が変わっているのに昔習ったとおりに、無批判に踏襲しているだけの間違いの可能性があります。
(いつも書きますが、秀才→学者とは、そういうものです。)
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