10/12/08
金融資産=負債
ここで、時価評価をやめたら、何を信用して貸したり投資したらよいのか、投資家は投資基準を失い市場に資金を出せなくなってしまい、らせん状の暴落につながるでしょう。
時価評価を一時停止・・仮に半年停止するということは、金融・証券市場取引を同じ期間、一時停止するのと同じ決断を意味するのです。
短期金融市場を、たとえば半年どころか10日でも停止するということは、10日間人の心臓を止めるようなものですから、そんなことは出来る相談ではありません。
ちなみに、金融安定化法案は、包括的な金額7千億ドル・・どこまで行政府に包括執行権を認めるかの議論ですが、これまでのGSE2社に対する救済など議会通過済みの個別救済を総合計すると既に1兆8000億ドル(190兆円規模)に達するとの数値もあるようです。
(同じく9月27日までの報道です)
アメリカの2007年のGDPは13兆8000億ドル超、年間国家予算総額が2008年度で2兆9000億ドルのようですから、GDPの一割超を焦げ付き債務の穴埋めに使うことになるのでしょうが、大変な規模であることがわかるでしょう。
しかし、これから、さらに損失が広がって行くと、公的資金の投入で凌ぎきれるかの問題となってくる可能性があります。
と言うのは、この後にも書いていくつもりですが、花見酒の経済同様に、金融資産が金融資産を生む構造から、現在では世界の金融資産総合計が世界総生産の何倍にも膨れ上がっているのです。
落語で有名な花見酒の経済については、11/06/05「犯罪特区2(国民総生産と犯罪所得)」
その他のコラムで紹介しています。
この差額分を、そっくり公的資金で穴埋めするには、世界中の紙幣印刷の輪転機を回しても、さしあたり追いつかないくらいでしょう。
7000億ドルもの巨額投入決定でも、市場が逆に暴落で応じたゆえんです。
金融資産があればそれと同額の債務が存在するのですが、現在の金融資産総額は信用創造機能と金融工学の結果、なんと世界中総GDPの何倍にも達していると言うのです。
この均衡点債務者の支払い能力まで下げないと債権の正しい評価にはならないのですが、GDPの何倍もの公的資金を投入することは不可能です。
金融資産評価が、GDP同額≒支払い能力まで下がるのをまって不良資産を買い取れば、投入金額が少なくて済みますが、それでは公的資金投入の意味が減殺されます。
そこまで下がると大混乱になるので、それを途中で食い止めようという無理な政策が金融政策とも言えるのです。
容器よりも多い水が溢れるのを食い止めるには、超過している水の容量分以上の入れ物がなければなりません。
アメリカ国内の支払い能力以上のアメリカ国内の金融資産が問題ならば、日本その他から借りた金で支払うことが可能ですが、世界全体の支払い能力の何倍にも膨れ上がった金融資産全体の評価減を食い止めるには、地球の外からの借金・・火星か金星から借りてこない限り、地球の内部で解決しようとすれば、地球の支払い能力と担保の限度まで評価を下げていくしかないでしょう。
要は、金融資産が帳簿上水増しされていた咎めが出てきただけの話です。
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