10/12/08

アメリカ金融安定化法案の功罪2

根本が評価損にあるのですから、銀行をいくら救済しても末端の住宅価格が下げ止まるまでは、債券評価が毎日のように下がり続いて結果的に金融危機が絶えず発生するのです。

9月27日にもアメリカの貯蓄(S&L)銀行最大手ワシントンミューチュアルが倒産したと報じられていました・・・これでは、その都度、追加公的資金の投入は避けられないでしょう。

どの分野に資金を投入すれば合理的か・・下げ止まらせることが出来るかについては、金融関係者の意見(・・は出身母体の金融機関に投入すべきだと言うでしょうから・・)だけではなく、広く意見を募るべきです。

実際この後にも書きますが、経済原理・市場原理に反して政府の力で下げ止まらせることなど出来るのか?そう言うことは必要か?という疑問もあります。

今回の議会での難航は、部外者の関心をひきつけ、幅広く意見を募る良い機会だったでしょう。

私はこの意味の建設的議論の高まりを期待していたのですが、金融関係に無関係な経済学者の層が薄いことと時間がなかったこともあってか、出てきたのは、私に言わせれば末梢的な議論だけだったようです。

第一次的投入は2500億ドル限定とか高額報酬を是正しろでは、基本的議論にはなっていません。

救済先は金融部門に限るべきか、その他どの部門に公的資金を投入すべきかの議論こそが重要です。

危機の根源は、末端価格の値下がりにあるのですが、末端価格の値下がりは支払い能力に関係するのですから、支払い能力の限度まで評価が下がらない限り、ことは落着しないのです。

そこまで下がって行くと、世界経済が持たないと言うならば、支払い能力を上げる(かさ上げです)工夫をするしかないでしょう。

こうした基本的議論がなくて、末端価格下落に連動した金融収縮防止のために「時価評価の会計基準を改正すべきだ」と言う世界の会計基準を震撼させかねない議論も起きてきました。

これが金融安定化法案修正条項に入っているのです。

当然こうした議論は恒常的ではなく、一時停止のような議論でしょうが、株価が下がると相場の動きを見ないことにして塩漬けにしておいてそのうち相場が戻ればいいと言う個人の投資家のような発想です。

個人の小金持ちの場合は、どうせ余っている資金の一部で買っているのですから、10年でも、ついに上がるまでじっと待っていられます。

しかし、裸の王様じゃあるまいし、帳簿上の評価さえ下げなければ債権や証券の価値を維持出来るものではないでしょうし、・・・怖いものを目をつぶっていて見なくとも実際には評価は上下しているのですか。

日々の取引が必要な証券会社や金融機関では、正確な評価不明では却って救済合併、M&Aなどの取引や通常の債券・証券売買が停滞してしまって大変な事態になってしまうでしょう。

リーマンの破綻以来、世界中で金融機関同士の取引が停滞するようになったのは、大丈夫だといっていた大手がいきなり破綻したので、会計帳簿が信用できなくなったことが大きいのです。

金融機関同士で信用できなくなって、短期金融市場は僅か1日だけ相手の金融機関に貸すだけでも怖がって・・疑心暗鬼状態に陥っていて、資金の出し手がなくなってきたために、欧州でも中央銀行以外に資金の出し手がない状態になっていて、大変な事態になってるのです。

 



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