10/05/08
政府(専門家)と議会の役割分担3
国会の役割から、刑法の法定刑の幅の広さに話がそれましたが、話を金融危機と議会の機能に戻しましょう。
9月23日の報道では・・インターネットでのニュースですが・・・、アメリカの下院議長は、危機対処策として政府に対して「白紙小切手を切らない」と明言していました。
また、24日の日経夕刊によるとアメリカの年間国防予算を超える7000億ドルもの公的資金投入の金融安定化法案に対して、(議会は右左に応じられないのは当然ですから、)責任者の退職金をどうする・・高額すぎる報酬制限などの意見が出て審議が難航していることが報道されていましたが、与野党と政府の基本合意が漸くできて、アメリカ時間の29日議会の採決にかけたところ、同日午後の採決で否決されてしまったのです。
この結果、ニューヨークダウ平均株式は9・11のときをしのぐ大暴落となり、翌30日(日本時間)の東証の日経平均も大暴落となりました。
その後、10月2日になって若干の修正経て上院で漸く可決されて、再び下院にかかっているようですが、これの多数派工作もまだ予断を許さないようです。
アメリカでは政党の拘束力が弱いことや、政府与党は一体とは言えないことも大きな違いです・・今回は、与党共和党の反対の方が多いのですが、これはこの後に議員内閣制と大統領制の違いについて書く予定です。
以上のように、アメリカでは、日本のように、金融専門家と有力政治家が密室協議で救済の可否を決めて完結する仕組みではありません。
アメリカでは白紙委任的包括的権限を政府に与えることはタブーで、政府はその都度、議会の承認を得なければならない基本的仕組み・・思想なのでしょう。
しかも個々の議員の独立性が強くって、大物政治家同士の合意だけでは、採決して見るとどうなるか予断を許さない・・29日には否決されてしまったと言う点もアメリカらしい特色です。
政府は執行権を有するだけで、最終決定権は議会が今でもしっかりと握っていると言う形です。
イラク戦争でも、兵員の増派決定にも議会承認を求めていたような記憶がありますが、すべて専門家任せにしないのがアメリカ流です。
GSEへの公的資金投入の場合も、決定するのは議会ですから、そのための法案を通すかどうかのチェックがあったのです。
GSEへの公的資金投入について、8月末ころに法案が通過したと報道されていました。
こう言うやり方ですと、議会の与党も野党もその都度自分の立場を明らかにして討論しなければならないので、有権者に対する責任も明確です。
その上アメリカでは、各議員個人の議会での発言履歴や、賛否投票履歴などが直ぐに公表され、誰でもインターネットで見られる仕組みらしく、日々選挙民から採点されているのですから、議員だからとふんぞり返っていられません。
特に、アメリカではこのあとで大統領選挙本番と下院選挙を控えているので、各党・・各議員ともあいまいな妥協が許されず、必死なのです。
次期大統領候補者まで、この法案に対する意見表明・対立候補者同士の討論が要求されていて、その発言次第で直ぐに支持率が変動する仕組みです。
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