10/02/08

刑の長期化と短縮3(刑法114)服役の多様化

ところで長寿化によって、刑期を長期化すべきだとしても、若者にとっては5年、10年が長く感じるのは、昔も今も同じでしょうから、刑期を決めるのに、その差をつけるべきでしょうか?

同じ犯罪行為(同じ結果)でも、年齢によって、服役期間に差を付けるのはおかしいと言う議論もあるでしょうが、現在でも、ちょっとしたルール違反の場合、高齢者の場合大目に見るなどの考慮はしているのです。

起訴不起訴に関する刑事訴訟法の基準を09/26/08「量刑基準の公開1(刑事訴訟法73)」で紹介しましたが、考慮すべき事情として明文で「・・年齢・境遇・・」と書かれているのです。

また少年法は、まさに若年者の可塑性に着目した特別法です。

長寿化が進めば若年者の成熟も遅れる道理ですから、少年法の適用期間を今の20歳から逆に30歳まで引き上げられないかも検討対象です。

その代わり、20歳以上については刑事裁判手続きを原則として、(現在の少年法では、家庭裁判所の手続きが原則で刑事続き移行は例外です)刑期の決め方、服役形態を少年法的に変える工夫をすべきです。

また年齢だけではなく、社会的地位に応じて服役内容に等級をつけるべきか否かも大きな問題です。

歴史的に見ても、捕虜になった場合でも、将校と兵とでは待遇が違うのが、世界的共通理解でした。

あるいは犯罪処理手続でも、武士・・お目見え以上などで、それぞれ待遇が違っていたことを、09/30/06「江戸時代の裁判6(吟味筋11)武士2」その他で紹介しましたが、単に身分差別がいけないと言う視点だけで画一待遇するのは、悪平等で間違っているのではないでしょうか?

シャバにいたときの地位・・生活水準に比例して、それぞれ何段階か待遇が低下するようにしないと社会でどんなに貢献してきた人でも、ひとたび過ちを犯すと元路上生活者と同じ画一的処遇では、却って、実質的に受ける苦痛の程度が違い不公正となります。

現状の画一的矯正施設では、最下層の人はシャバにいるときよりは却って待遇が良くなり、社会的地位のある人にとっては、イキナリの急激な生活水準低下には耐えがたい苦痛を感じるでしょうから、公平な刑罰・痛みになっていないのです。

最末端生活者にとっては、服役願望さえ出てくるほどの好待遇になってくると、服役期間の長期化だけでは却って犯罪誘発傾向が出てきます。

学校教育で・・良くできる子に平均値レベルの教育を強制しているのは、出来る子にとっては苦痛ですし、出来ない子にとっては平均値の教育には付いていけないなど画一教育の弊害が出ています。

できる子は、有名私立に・・出来ない子は落ちこぼれ用の私立に、それぞれ特化しているように、いろんな場面で悪平等・・画一システムは破綻しているのです。

福祉サービス内容についても、自費と生活保護によるサービスの区別を付けるべきではないかと言う意見を12/16/06「国民年金制度と生活保護(モラルハザード防止3)」その他で書いたことがありますが、・・・画一待遇は、刑務所でも生活保護でも、無理が出てきているのです。

服役内容も、社会的経験・・それまでの地位に応じた待遇が必要です。

 

 



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002 - 2010 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC