10/01/08

刑の長期化と短縮2(刑法113)

他方で技術変化が早いので、30年前の5年間の社会隔離効果が現在では10年間にも匹敵するでしょうから、(現在生活に必須のパソコンや携帯は10年前にはほとんど普及していませんでした)この観点から言えば、むしろ社会隔離期間を短期化していかないと、社会復帰の適応が難しくなる・・再犯率が上がる危険性があります。

また長寿化の影響は中高年齢者に妥当するものであって、・・このころは60歳前後の凶悪犯も増えてきましたが・・・・彼らにとって10年は若いときに比べて短いでしょうが、20歳前後の若者にとっては5年でもとてつもなく長く感じるでしょうから、30歳以下と40才以上では、期間の考えに変化をもたせるべきかもしれません。

このように、受刑者の社会復帰に重きを置くか、隔離効果に重きを置くかによって、対応が違ってくることになります。

どうせ更生・・社会復帰など望めそうもない人には、社会防衛のためには隔離の長期化のほうが合理的ですし、他方で更生可能性の高いものを長期に拘束しておくのは却ってマイナスですが、被害感情も無視できません。

更生可能性だけを基準にすると、刑務所内部での恣意的的裁量を許して、却って人権侵害になりかねません。

(軽微な罪なのに、担当者の私的感情に反しただけでと、反省していないからという理由で、40年も50年も出してもらえない事態も起こります。)

犯罪の軽重による一定の幅を法定して、その範囲内で更生の進展にあわせて仮釈放を認めるのは、服役者に有利方向への裁量だけであって、人権侵害の余地が狭まります。

これが現行の刑法各犯罪での法定刑と仮釈放の制度趣旨です。

刑法

(仮釈放)

第28条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。

短期、長期の服役(隔離)区別の基準を客観化するための基準として、現在の刑法がどうなっているかをみると、犯した犯罪類型によって、服役期間の長短が決まっているのですが、これらは被害の軽重や行為態様を主な基準にしているのであって、社会復帰・更生能力を殆ど考慮していません。

セイゼイ判決時に反省の態度、再犯可能性などの要素を酌量して決める程度・・修正要素にしか見ていないのです。

刑法は改善可能性よりは、被害感情の重視と犯した者に対する非難可能性に重きを置いた区別なのでしょう。

そして最近の重罰化=服役期間長期化の傾向は、非難可能性に重きを置き、かつ、更生可能性を低く見ている・・・・・教育刑の思想にサジを投げつつあると言うことでしょう。

社会復帰・・更生可能性を刑期の基準にすれば、もっと違った刑期になるはずです。

被害の大きい犯罪は更生しにくくて、軽微犯罪が更生し易いとはいえないからです。

 



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