12/28/07

不在地主復活の亡霊3(地主発生の基礎3)

元々苦しかったのに苦し紛れに所有権移転と引き換えに一時金を取得しても、(これは貯蓄になるのではなく、それまでの借金の支払いにその日の内に消えるのが普通です)今度は小作料を取られるようになる分だけ以前より収入が減るのですから、時間の経過でもっと苦しくなります。

サラ金から借りて生活するようになった人にとっては、翌月から借金支払い分が増える分だけ生活が苦しくなるのと同じです。

この仕組みでは、窮乏化がスパイラル状に極限化するだけですから、サラ金頼みの生活と同じでいつか破綻するしかない仕組みですから、こうした方向へ誘導し、放置した政策の失敗であったと言えるでしょう。

明治維新で緊急に必要としていた下級兵士や炭鉱労働者等の供給源としては、文官化していた武士階層や町方の人材では使い物にならなかったことを、04/08/04「地租改正と売買自由化2(日本版囲い込み?・・・労働者の創出」以下のコラムで紹介しました。明治政府は、租税金納や子沢山政策・家督相続制などで、近代工業化に向けた労働者の供給源となる農民層からの工場労働者や兵士の輩出策には成功したのですが、その負の側面の現われが地主小作関係の誕生であったといえるでしょう。

これに対する手当てがないまま・・・と言うよりは、開国時の緊急的事態を脱した以上は一刻も早く江戸時代までの一人っ子政策に戻すべきだったのです。

今でも人口減を恐れる風潮があるのは、明治以降に刷り込まれた「人口増こそ国力の源泉」というあやまった観念が続いているのですが、ちょっと何かが続くと先祖代々の不変の原理のように思い込むわが国の頑迷な風潮の表れの一つともいえるでしょう。

こうした文化的因習の強さについては、家光が始めたに過ぎない鎖国制を古代からの国是のように固執したり(尊王攘夷運動)、第二次世界大戦の配給制の結果みんなが米を食べるようになったことを知らずに、日本民族の源泉のように主張したりする国民性について、09/02/04「水戸の攘夷思想と薩長の攘夷(天狗党1)」05/27/05「日本人の米食信仰と配給制度1」04/15/05「夫婦別姓26(カード社会1)」などなどで、多角的に書いてきました。

こうして頑迷な思想の結果、子沢山政策は続き農村窮乏化はとどまるところを知らずというところで、・・映画「おしん」の背景・・・11/05/06「人口政策と家督相続制度1」前後のコラムで連載した・・・第二次世界大戦の遠因になっていくのです。

他方、農村の窮乏化に応じて買い受けに応じた経済余力のあった農家・・後の地主も、新規効率的農法の開発によって、同業者間競争に競り勝って、農地を買い集めたのではありません。

経営拡大のための買収であれば、買った以上は自分のやりたいように直営するのが普通です。

 

 



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