12/10/07
農業基本法の時代4(農業従事者保護と近代化の両立?)
農業基本法の前文では、上記のように第1段落第2段落で過去の日本民族の気質形成に果たした事績をたたえているのですから、その結論は、 「あとは、(我々新興産業に任せて、)ゆっくり(自然消滅)してください」 となるのが論理の帰結です。
そこまでは、明言できないので、第三段落では、農業の過去の業績が民主的、文化的国家建設にどのようにつながるのかも不明のままに、イキナリ今後も民主的文化的な国家建設に・・「重要な意義を持ち続けると確信する」 という結論を書いているのです。
ところで、「確」信というと確かな意味の漢字ですが、「たしか、10日前だったと思うけど・・・」というように、今では不確かなことを表現するときに「確か・・・」というのですから、この熟語は、かえって「信じるしかない」という頼りない言いっ放しの表現になっているのです。
結局、これは、前後脈絡のなさと相俟って根拠のない願望を書いたとしかいいようがないでしょう。
あまりにも文法的に無理があるし、こう言うのは法律かな?という印象を受けますので、第4段落では、「しかるに近時・・・・・」と現状が憂慮すべき事態にあると続けざるを得なくなり、第6段落以下では、その状況打破のために農業の近代化、農業従事者の所得向上を図って行く政府の決意が書かれているのです。
前回、農業基本法の前文を紹介しましたが、いくら政府の決意を書いても税金をつぎ込んでも、前々回に書いたように、産業というのは、次々と参加者が新たな視点で新機軸を出していかない限り、発展性がないどころかジリ貧になるのが鉄則です。
どんな業界でもプレー参加者がまじめにがんばるためには、勝敗(賞罰)を明らかにし、脱落者が出ることを予定しなければなりませんし、新規参入の保障された適正な競争が必須なのです。
新規参入も脱落もないぬるま湯のままで、がんばれる業界は滅多にありません。
ところが、第1条では、「・・・農業の発展と農業従事者の地位の向上を図る」ことが目的になっているのですが、既得権者の保護(脱落者を出さない)とその業界・・農業の発展とは両立し得ない概念です。
農業従事者保護を全面的に掲げて(すなわち新規参入の阻止と脱落者防止を露骨に宣言して)おきながら、農業の発展を図るとは自己矛盾でしょう。
自分達で考えるでもなく、新規参入者の挑戦もなく、業界外の第三者(それも役人や有識者?)にまかせて、今度からこの作物を作ったら良いなどと一々指示されているような業態では、何をやってもうまく行くわけがないのです。
こうした自己矛盾政策と相俟って、農業の構造改革・・近代化がうまく行くわけがないことを見越して、政府の介入の度合いを上げていく「決意」をこの基本法前文で表明したというべきです。
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