12/13/06

債権譲渡(担保)の不明朗性1

もうちょっと、正確に判例変遷を紹介しますと、元の判例自体は、昭和50年代だったと思いますが、2年程度の債権譲渡事例の有効無効が争われた事件で、この程度の期間は、将来の債権と言っても確実性があるから有効としたに過ぎないものでした。
これに対し、学者の解説もあって、業界は過剰反応していたともいえます。
ですから、平成になってから、今度は、もっと長い期間にわたる譲渡事例が争いになった事件に対して、また有効としたに過ぎないので、従来の判例に抵触する・・変更したとは言えないのです。
ともかく、これによって、実務はがらりと変ったのです。
裁判は、法理論に基づくものでもあるけれども、政治的判断・・どのような利益を保護する気持ちがあるかによって、結論が左右されるものである一つの例でしょう。
話を債権譲渡に戻しますと、各月の売上(診療報酬債権)全部を金融業者などに2年も3年も取られたのでは、実際には電気・ガスも人件費も払えないので直ぐ(翌月)にも倒産してしまいます。
そこで、従来は、貸し金業者・・銀行なども金銭貸借をしても、債権譲渡通知用文書に、債務者の署名を貰っておいたまま、実際には譲渡通知を出さずに保管しておいたのです。
そして、約束どおりに売上金の入金の中から、債務者による自主的な支払いを期待し、これを怠ったときや、支払停止などの緊急事態が発生したときに、初めて発信する仕組みでした。
しかし、これでは、債務者が破産したときには、殆どの場合否認の対象になってしまいますのと、危機状態になると、金融業者が一斉に出すので、どちらが早いかのリスクがあったのです。
そこで、最近では、貸金成立と同時に、全額の債権譲渡通知を実際に発信してしまい、表向き全額とるようにしてしまったうえで、当事者間の話し合いで、売上の内、リース料や貸金の分割払いの約束額と見合う金額だけを業者がとって、その残りを毎月バックする仕組みになってきたのです。
(この方が競合他社の参入を防げる上に第3者の差し押さえや破産にも対抗できるし、さらにはイザとなれば全額自分が独り占めできるのですから、分割的債権譲渡を工夫する気がないのです。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資