12/22/05

英米との歴史の違い法曹一元移入

イギリスと日本の歴史経過の違いを見てくると、日本の代言人が弁護士と名称が格上げされただけでは、英国の法曹一元をそのままもって来るのは、少し無理があるかもしれません。
そこで、戦後には、前提となる法曹養成システムから英米流に変えることにして判事、検事、弁護士共通資格である司法試験制度・・司法修習制度がもうけられたのです。
しかし、もう60年も経つのにまだ力不足と言うか、なかなか根付かないのは、官の方で一緒になりたくない歴史・・・何千年にわたる官尊民卑思想があるからでしょうか?
そう言う面もあるでしょうが、基本的に官を信用しない所から発達したイギリスの裁判制度と、官の御目こぼし・・役に立つ範囲で、代言人が発達したに過ぎない日本では、その成り立ちが違うことにあると思うのです。
元々民衆の支持、需要があってその需要にこたえ、徐々に人権擁護の権限が認められてきたのと違い、そうした需要がなかったからその方面の発達が出来なかったのです。
日本の公事宿の亭主がイギリスの「イン」の亭主に比べて怠慢だったと言うのではなく、需要がなかっただけですから、外圧、或いは進んだ思想だけで以って、代言人から弁護士に名称変更し、権限が認められたからと言って、いきなり需要があるわけではありません。
せいぜい僅かな潜在需要が顕在化しただけ・・・・・少しばかりの需要が生じただけ・・・・・ちょっとばかりイギリスの弁護士と役割が交差しただけのことでしょう。
この交わった線を維持するために、戦後は共通養成制度で何とか1本線にしようとして来たのですが、反政府的需要そのものが歴史上あまりない社会ですから、養成システムだけ共通にしても無理があったのでしょう。
戦後は、幸い高度成長のひずみが生じて来た時代でしたので、公害問題や労働問題、消費者など、このひずみによる被害を救済する分野で功績をあげてきました。
弁護士の本領が人権擁護であると限定すると、その能力を発揮出来る分野は、政府の政策による被害者救済ないし弱者の需要だけが支持基盤となります。
こうした弱者が続出する社会でないと、本領発揮できない職業って、な〜んか暗いですね。
しかし、社会が安定すると、(安定成長社会のことで犯罪の少ない社会と同義ではありません)こうした社会のひずみによる需要が減退します。(めでたいことです!)
これに加えて、そのうち大量増員時代が現実化しますと、弁護士の質の低下が叫ばれるようになるのは必至です。
そうなると、同じ資格ではおかしいとなっていき、60年間にわたって判検事と平行にくっついていた2本線は分かれていくことになるのでしょうか?
これからビジネスロイヤーが増えてくると、精神機能・・人権擁護機能は背景に退く時代が来るかもしれませんから、その方面からも代言人時代に戻って行くのかも知れません。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資