12/02/04

裁判所法 9(高等裁判所の権限)刑法12(内乱罪)

ついでに地裁と高裁の権限を紹介しておきましょう。

裁判所法
第16条 高等裁判所は、左の事項について裁判権を有する。
1.地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴
2.第7条第2号の抗告を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判所の刑事に関する決定及び命令に対する抗告
3.刑事に関するものを除いて、地方裁判所の第二審判決及び簡易裁判所の判決に対する上告
4.刑法第77条乃至第79条の罪に係る訴訟の第一審
(その他の権限)
第17条 高等裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。」

16条4号記載の刑法77条は内乱罪だけですから、それ以外は軽微であることを理由に簡易裁判所にゆだねる他は、全部地方裁判所の管轄となるのです。
刑法も紹介しておきましょう。

刑法
第二章 内乱に関する罪
(内乱)
第七十七条 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法に定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
 一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。
 二 謀議に参与し、又は群集を指揮した者は無期又は三年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は一年以上十年以下の禁錮に処する。
 三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、三年以下の禁錮に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第三号に規定する者については、この限りでない。
(予備及び陰謀)
第七十八条 内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。
(内乱等幇助)
第七十九条 兵器、資金又は食料を供給し、又はその他の行為により、前二条の罪を幇助した者は、七年以下の禁錮に処する。
(自首による刑の免除)
第八十条 前二条の罪を犯した者であっても、暴動に至る前に自首したときは、その刑を免除する。」

内乱罪には未遂処罰の規定が有りません。
その代わりと言うのは正確ではありませんが、陰謀、予備の段階で処罰されるのです。
なぜかと言うと、内乱罪は本質的に未遂しかない罪なのです。
既遂、即ち成功すれば官軍ですから、逆にそれまでの政府軍が反乱軍扱いになります。
ですからこの内乱罪の条文は、未遂を本罪にしているのです。
普通なら未遂・・実行に着手して初めて未遂と言います.・・・を処罰するのさえ例外としてワザワザ条文に明記しなければ処罰できないのですが、内乱の重要性にかんがみて、どんどん前倒しして、実行に着手していない予備どころか陰謀段階でも処罰しようとするもので、運用によっては極めて危険な条文です。
その上、未然に防ぐ為に自主を奨励しています。
自主しても減刑するだけと言うのが刑法の原則ですが、内乱罪に限っては免除されるのです。
密告の奨励規定です。
何の準備もなくても、陰謀だけで処罰出来るのですから、客観的な物証は一切不要と言うことになるのでしょう。
古代の「天と赤兄だけが知っている」と言う名文句を残した有馬の皇子や、呪詛の嫌疑をかけられた長屋王みたいに「恐れながら・・・・」と誰かが訴え出ると、それだけで逮捕されて処罰されてしまうのですから、内乱罪に関しては古代社会と同じ法制度が直ぐそこに残っているのです。




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