12/27/02
憲法の限界 2
戦前の既得権益層は、憲法を少しでも元に戻すには、大義名分として、『外国に押し付けられた憲法反対』と民族感情に訴えるだけでは、賛同するのは、右翼を中心とする勢力だけですので、(実際自民党内で、右翼に太いパイプを持つ人物が重きを為している時代が昭和50年代まで続きました。)『どの条文が不都合か?』と言う問題提起が必要となります。
そこで、条文上の槍玉にあげる材料として、憲法第9条の戦力不保持が非現実的であると言う名目で、旧勢力が結集したのです。(朝鮮戦争後、アメリカも日本の再軍備を求めて後押しをしてくれましたし。)
GHQによって得をした農民層は、農地解放によって小なりと言えども、新たな地主層になったので、これは既得権として保護される事から、これ以上の民主化をとどめたいと言う立場から憲法改正派である自民党の有力支持基盤となりました。
このように完全に既得権まで行ってしまったら、今度は抵抗勢力に回るのが政治・経済の面白い所ですね。
高度成長期に少しでも土地を買った人は、土地がうなぎ上りに高騰する事を喜んでいて、結果的に大規模な土地所有者の利益に加担していたのもその一例でしょう。
買った土地が値上がりしても、売るほど土地を持っていない限り、売れば住む家がなくなりますので、倒産など債務整理の時や、なにかで失敗して生活水準を引き下げるときしか売る訳には行きません。
普通、自分の債務整理や生活水準の引き下げを想定して喜んでいる人はいない筈ですが?不思議な現象だと私はいつも言っていましたが、相談にきた人は、あまり納得しない顔で、仕方なしにうなづいていた物ですが、このコラムの読者はどうですか?
同じ家に住み続ける限り、値上がりするとまわりの諸物価が上がって生活費が嵩む損害しかない事になりますし、運良く更に大きな土地に買い替えるような場合を考えても、例えば5000万の土地建物から1.5倍の7500万の土地に買い替える予定が、値上がりによって土地建物がそれぞれ2倍になった場合、(自分の土地建物が1億になる代わり買う予定地も1億5000万円になりますよ)一生懸命溜めた2500万円では買えなくなってしまい2500万円の追加借金をするか、諦めて、1億2500万円で買える程度にランクを落として買うしかなくなります。
その上、取り引きに伴う流通諸費用もこの割り合いで嵩む事になります。・・仲介手数料、譲渡所得税、不動産取得税、登記印紙代など取り引き金額や評価額に連れて負担が大きくなる仕組みす。・・・この流通諸経費の馬鹿高さが問題でしたが、今年の税制改正でやっと手がつけられるようになった事は、新聞に書かれているとおりです。(それでも金額に連動する仕組みが変わる訳ではありません。)
このように、普通の人は、土地値上がりの結果、諸物価が高騰する損害の方が大きかったのですが、少しでも物を持つとそんな事はわからなくなるもののようです。
同じ理屈が値下がりの場合には、逆に働くのは理の当然ですから、実は土地建物の値下がりは、よりランクアップを願っている普通の人にとっては、全然持っていない人は勿論の事、土地建物を既に持っている人にとっても、凄く得な話なのですよ。
例えば、5000万の土地を売って8000万の土地を買い替えようとしていた時に、半値になると、売る土地は2500万になりますが、買う土地も4000万に下がるので、買い換え資金が、3000万円から1500万円に減って、凄く得するのです。(仲介手数料なども下がります。)
このように小なりと言えども、既得権者となった人は、何故か既得権にしがみつきますので、農地を手に入れた農民は当然保守的となり、これに対して、労働者や都市住民は、戦後やっと権利らしいものを得たばかりで、均分相続権(長男以外は都会に出るのが当時普通でしたから、都市住民に有利です)と言ってもまだ文書上の権利でしかなく、これから発生する相続で主張しなければならない権利ですし、各種の基本的人権や、労働者の権利も日々交渉によって勝ち取って行かねば、現実化しないものでした。
ですから法律や憲法が改正?されれば一朝にして瓦解する弱い既得権?です。
こうして、現在の道路民営化論争に繋がる『都市住民対農山村住民』の争いという戦後図式が生まれたのです。、
こうして戦後3〜40年間は、新憲法成立時の旧勢力プラス農民と、新興階級としての都市住民の間で改憲と護憲の争いをして来たのです。
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