12/15/02
成年被後見人(民法22)
前回のコラムで20歳までは一律に未成年者と言って、全員無能力者として保護されている事を説明しました。
成人しても能力の弱い人や、全くない人がいます。こういう人(前々回のコラムで書きましたように本当の目的は、家産の維持です。)も保護しないと悪い人に財産を食い物にされてしまいます。
そこで成人している人に対しては、年齢によらず(80歳以上一律に無能力と決めたら中曽根元首相は怒るでしょう!)個別事情によって裁判所で宣告を受けた人だけが保護されるようにしたのが成年被後見人です。
ほんの数年前までは、『禁治産者』と言う名称でしたが、かたわ、めくら、狂人という差別用語をきらう風潮もあって後見人を選任された人と言う間接的な言葉に変わりました。
ところで『差別用語禁止の風潮』と書きましたが、日本では、昔から相手に対して直截名前を言ったりするのを憚って、こなた様、とか住んでいる屋敷の所在地を指したりして来ましたので、こうした間接的表現法の系譜に繋がると見るのが正確かも知れません。
直接的に、表現していた明治以後の100年間がむしろ野蛮な時代だったと言えるのかも?
いづれにせよ、禁治産者の後見人の仕事は、財産管理だけでなく、療養看護の仕事もあるし、介護問題が騒がれている風潮に便乗すれば、政府は、言葉の変更をするだけで、介護に熱心であるかのようなような印象を国民に与えられるメリットがある事は確かでしよう?
そこで財産管理だけを意味する禁治産者(以前のコラムで書きましたように、財産を治めるのを禁止すると言う漢字です)は不適当だから、被後見人と言う間接的な名称にしたとのでしょうが、単に、病気の親の世話をするだけならば、裁判所でわざわざ、後見人と言う御墨付きを貰わなくても、殆どの人々が、事実上介護などの世話をしているのですから、鑑定費用を裁判所に納めてまで後見人選任を裁判所に求める場合は、子供同志で、熾烈な財産管理上の争いが先行している場合が殆どです。
私達弁護士が選任されるのは、子供同志の争いによって、誰かが一人占めしないように、中立的な財産管理人としての役割を期待されている様ですので、いつも大変な争いがあります。
しかも、鑑定までするような人は、殆ど精神病院に入院中の人が多くて、普通の病気入院と違って、会いに行っても自分の息子かどうかも分からないと言う状態が多く、また、どこか身体の具合が悪いと言うのでもありませんから、見舞いや付添いや、普通の病人のように痛い所をさすってあげるなどの必要性もないのです。
それで、療養看護と言っても、おじいさんやおばあさん名義の通帳に振り込まれる年金を払い戻して、時々病院へ行っておむつ代やその他の支払いをする程度で、特別な介護をしている訳でもありません。
ですから、被後見人と名称が変わったからと言って、実態は以前と殆ど変わっていません。
ただ、禁治産と言うと非人になったような印象があったので、(何故、カムイ伝の非人を連想するようになったのか不思議ですね)心理的に申し立て難かったのですが、名前が変わって『後見の就いている人』と言うだけでは何の事か分かりませんので、申し立て易くなったと言うのが大きな変化と言えるでしょう。
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