12/08/02
道路公団民営化委員会と日本の指導者 1
ここ何週間も民営化委員会の運営を巡って報道が過熱していました。
その内容について論評するのではなく、今回は民法のお話を休んで、改革のやり方、指導者の資質について考えてみたいと思います。
御存じのように、委員会は、道路族の意を受けたような主張をする今井委員長、中村委員(7人の侍ではなく、2人の野武士が混じっていると言われていましたが、税金を食い物にすると言う意味では野盗と表現すべきでしょう)対、これ以上赤字路線の建設を抑制したいと言う猪瀬、松田両委員を中心とする5名の侍との対立でした。
今回問題にしたいのは今井委員長の見識です。
対立が抜き差しならなくなって、一時委員長解任の動議まで出された前後の委員長の行動として報じられる所によれば、委員長の主張の骨子は、『自分も建設抑制したいが、与党の中で、建設促進を求めている議員が330人にものぼっている以上、建設継続にも道を残す自分の意見以外は、答申しても法律を国会で通せないから意味がない』と言うものであり、その前提として、委員長は、道路族幹部の古賀誠道路調査会長や、国土交通省と緊密に連絡を取り合っていたと言います。
更には、小泉首相にも相談していた様ですが、最後に『政治の事は政治家が考える。』と首相が発言した事により梯子を外されて、委員長を投げ出したと言われています。
私が問題にしたいのは、彼の経歴が、新日鉄の社長、会長、経団連元会長と言う財界のトップ指導者・『人物』であったことです。
私は、常々このコラムでも、日本の指導者は、いつも役人や社長の顔色ばかり窺うのに優れた人材が出世し易く、本来の仕事ができる人が出世し難い弊害がある事を憂えている者ですが、(例えば銀行では、モフ坦という大蔵省担当者が歴代頭取の出世ルートである事や、事業会社は、情報が欲しかったり、融資を受ける為に、官僚上がりや銀行から社長を受け入れている弊害を繰り返し批判して来ました。)
今井氏は前記の赫赫たる経歴に加えて、論客でも知られていましたが、今回の騒動を見る限り、彼は確立した個人の意見がないまま、上司に気に入られる様な器用な意見を述べて、出世階段を上り詰めただけの、典型的指導者でないかと、疑わざるを得ないのは、誠に残念です。
民営化委員は、背後の首相の意見通り答申したり、道路族の意見の代弁をする為に選ばれたのではありません。
首相の言うとおり答申する委員会なら、初めから必要がないのです。
同じ事は道路族の代弁でも言えます。
その『人物』識見を見込んで選任されたのですから、自分の信ずる所に従って意見を述べるのが、職責です。
しかるに、今井委員長は、長年の習慣からか、自分の意見を主張するのではなく、総理や族議員、役人の顔色を窺うのに終始していたのですから、呆れてものが言えないという所です。
こういう人が日本を代表する大手企業トップになり、経済界のトップに成っている社会だとすれば、日本の国は、果てしなく低迷するしかないでしょう。、
彼等大手企業トップの多くは、こんな風にまわりの意見を気にしながらそつのない立ち居振る舞いをする事によって上司に気に入られて出世した人だとすれば、会社経営や国の改革に新機軸を打ち出すよりも、右顧左眄して、同業他社の様子を窺い、或いは合併したりして、(ここ数年の銀行の合併も目に余りますね、現下の銀行業務のあり方からすれば、大口貸し付けよりも、リティール中心に移行しなければならないと言いながら、規模の利益を求める合併は延命策・先送りとしか思えません。合併すれば事務効率が落ちるばかりで、余計業績が落ち込む筈です。その咎めがここ数カ月の銀行の危機騒ぎとなっているのです。) その場をごまかすような時間稼ぎしか出来ないでしょう。
私は日本の再生の為には、クロネコヤマトの社長のように、自分で企業を成功させた人だけが社長に成れる社会を作る事だと思います。
今のように、商売の仕方が全く分からない、官僚上がりや銀行上がり、或いは社長のお気に入りが、(こういう人材は秘書課長止まりにすべきです)あちこちの大手企業の社長に成っているのでは、いくら議論していてもだめでしょう。
話が変わりますが、過去幾多の国が滅びたのは、こういう人材が『君側の奸』として実権を握った時に多いのは皆さんも御存じのとおりです。
この種の人々は、若いときから成績優秀で、人の意見をちょっと聞いただけで、直ぐ理解出来る優れ者ばかりですが、私の見る所、自分で新しい事を考え出すのは苦手な人種だと思いますよ。
以前から書いているように、日本はキャッチアップの時代が終わって、自分で考えて行かないとやっていけない時代が来ているのに、教育は従来通り、キャッチアップに優れた種類の学生ばかりを優遇していますし、企業もこうした成績優秀者ばかり採用していますので、これでは、本当に日本は沈没してしまいますよ。
最後に感想・・・・松田委員(特に社会的地位を考えると自己保身を考えず)と猪瀬委員は(作家と言うがその作品は全く知りませんが)良くやった!・・我国にこれから必要な人材でしょう。
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