12/04/02
人は死ぬと?(白馬非馬論)
鯛は『腐っても(死んでも)鯛』と言いますが、人は死んでも人でしょうか?
鯛に限らず魚や豚などは、死んでいるのを、魚屋やスーパーで見かけるのが普通ですが、死んださんま、死んだ豚、死んだ牛と言わず、さんま、カツオ、鯖、豚、牛などと言いますが、別に誤りではありません。
人はどうでしょうか?
人と言うのは出生によって始まり、死亡によって終わるのです。
ですから、人は死んだら人ではありません。魚や豚と同じではないのです。
牛だって、死んだ牛と言っても良いのだから差がないと思うでしょうが、牛や豚、魚などは、生きていても死んだときも、法的な分類では『物』と言う種類である点は変わらないのですが、人間(生きている間だけです)に限っては、万物の霊長?として特別扱いしています。
人を殺せば殺人罪ですが、犬を殺しても殺人罪として処罰されません。
このように人は生きている限り特別大事にされていますので、生きているのか死んでしまったかはとても重要です。
ところで、私がこのように人が特別扱いされていると書きますと、皆さんは、人を大事にすると言う法律があるのかな、いや、当然あるだろうとと思うでしょうが実はないのです。
殺人罪や傷害罪で処罰するぞ、と脅かす事によって結果的に人が特別扱いされているのです。
話が更に飛びますが、人を殺したり、怪我させてはいけないと言う法律も、どこにもないのです。
殺人罪は、『人を殺したものは』処罰するというだけで、殺してはいけないとは書いていないのです。傷害、窃盗、通貨偽造罪、内乱罪等刑法犯は、同じ書き方です。
私が昔、お寺で習ったお経には、不殺生、不邪淫等のお題目があったように思いますが、刑法は、何故か直截的な書き方をしないのです。(この訳はまた別の機会に書きます。)
死んだ人の夢を見たとか死んだ人を見つけてびっくりした・・・と言いますが、死んだら『人』ではあり得ないのですから、そう言う言い方は正確ではありません。・・・・屁理屈ばっかりで驚くかな・・・・・・
皆さんは『白馬非馬の論』と言うのをお聞きになった事があるでしょう。
中国の春秋、戦国時代に、諸子百家と言われる沢山の思想家が輩出しました。
現在、私達の基本的な考え方は、この時代にに大方考え尽くされているのですから、何と言っても凄い事だと思いますよ。
そのひとつに、論理的思考を重んじる名家と言う一派(公孫竜)があり、この集団の考え出した有名な論理が『白馬非馬論』と言うものです。いわく、『白馬は、馬ではない。』と言うものです。
皆さんはその心がお分かりだと思いますが念のため書きますと、
その心は、『白馬は、馬と言わず白馬と言うのだから、だから馬ではない』と言うものです。
当時のたくさんの弁論家も、名家の中の希代の雄弁家、児説(げいえつ)に、この白馬非馬論にうち負かされてしまったと言われています。
こういう論法を詭弁と言うのかな?。
ところで、『死んだら人と言わず、死んだ人という以上は、人ではない』と言うのは、名家の白馬非馬論と似ていますね。
しかし、人は死ぬと人ではなくなるのですから、死んだ『人』はこの世にいないと言うのは詭弁ではありません。(これ自体詭弁かな?)
法律の世界では、前記のとおり、人の他は、動物、植物、魚及び生死の別なく、すべて、『物』というものに分類されています。
いかに可愛いがっていた犬が、殺されてもつい最近まで器物損壊罪にしかなりませんでしたが、漢文調ではあまりにも難しいと言うので平成になって口語体の文章に改正されたときに
器物損壊の一種の動物傷害罪という独立の罪名にやっと昇格したばかりです。
ウッソォーと思うでしょうが本当なのです。
そう言う意味では、ひと以外は、死んでも生きていても物『(法律用語的発音はぶつと言います。』に変わりないので、死んだ魚と言わないのですが、人は死ぬと人としての特別扱いがなくなって『物』の一種になるのです。(生きていても、例外的に『人物』と言われる人がいますが法律用語では有りません。)
物に成ったと言っても、元は人ですので、勝手に捨てたり売ったり、刻んだり出来ないように、法律で禁止(一定の場合、処罰すると言う形で)しています。
しかし、魚などの死体の処置については、衛生上や廃棄物(簡単に言えば、建物の残骸と動植物の死骸との区別がないと極論出来るかな?)として迷惑にならないようにと言う観点からの規制があるだけです。
こういう訳で、人が死んだ後は人ではありませんので、まだ生きていると思って、とどめを刺す為に、胸を刺したり、首を切っても殺人罪にも傷害罪にもなりません。
殺人罪や傷害罪は、人に対する罪だからです。
このように何時から人になって、何時から人でないかは、法律上重大な意味があります。
では、まだ生きているのに、死んだと思って、心臓や、腎臓を切り取ったらどうなるでしょうか?
これが脳死を認めるかどうかの問題になっているのです。
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