11/09/07

消費貸借契約5(民法376)

日本語の問題は別として、いずれにせよ、わが国では相手から受け取ったものを消費(処分)してしまい、借りたものをそのまま返さない契約でも「貸し借り」と表現する言語慣習があって、これを前提にそのまま民法の条文を作ってしまったのです。
このときに本来ならば、受け取ったものを消費してしまって同種同価値の別のものを引き渡す・・今の消費貸借を「貸借」の仲間に入れないで、別の熟語・・典型契約類型を創設すればよかったのでしょう。
これを怠って、日常用語をそのまま法的用語に昇格させてしまって、消費「貸借」という言語矛盾のような典型契約を制定してしまったのは、立法のミスと言うべきではないでしょうか?
とは言うものの、「お金を借りる」という表現は、あまりにも日常的に身に着き過ぎているので、どのように言い換えれば良いのか、私にも今のところ見当がつきません。
あえて思い付きを言えば、お金を貸して「もらう」というところに力点を置いて、「同種同価値のものを返す」ところを、時間差で返して「貰う」ところに力点を置く意味に即した契約類型を創設することでしょうか?
実際お金を借りる人の心理は、貸して「貰う」ことに中心があって、返す気持ちは低いものです。
返す段になると、何となく懐から出て行くお金を損した気持ちになる人の方が多いのは、そのせいです。
当事者の心理からいえば、「貸し借り」よりは、時間差の「やり取り」の方に親和性があるのです。
ただし、諸外国では、(民法制定時に参考にしたフランス法やドイツ法で)この種の類型を日本同様に「貸借」の仲間に入れているのかどうかは勉強不足で知りません。
例えば、アメリカでも、「お金を借りる」と表現しているのか、貸して「貰う」と表現しているのかどうかすらも知りません。
(わたしの英語力はこんな程度のものです。)ところで、時間差の利用・・・時間を買うか時間を無償または有償で手に入れることこそが、貸借の本質です。
金利つきの場合はもちろん有償ですし、賃料を払うのも有償です。
住宅ローンの場合でいえば、お金が溜まるのを待ってから家を買うのではなく、、溜まる前から、家を買えるので数十年早く入手できるし、ボーナス時支払いの各種買い物も同様です。
ですから、リース取引その他各種貸借は、時間差の取引であることがわかるでしょう。
こうしてみると、時間を手に入れる行為が、すべて貸借とも言えますから、消費貸借も貸借の一種になるのかもしれません。
要するに、日常用語の「借りた物は返す」という意味からは、ズレますが、時間取引として括れば、消費貸借もまさに貸借の一種です。



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