11/01/07
相続民分31(法361)
遺産分割は、相続開始時に遡って効力が生じるのが、法的な効力では大きな点です。
本来共有ならば、その分割の効果はそのときに発生するものであって、遡及効がありません。
ただし、1昨年ころに出た判例では、分割時までは共有であったから、そのとき・・遺産分割時までに発生していた賃料は、その土地や建物を取得したものが遡及して取得するのではなく、その不動産を取得しなかった全相続人の法定相続分に応じた分割財産になるということになっています。
共有であるという判例理論ではそういう帰結になるのでしょうが、明文で書かれている遡及効とどう整合するのか今ひとつ分かりません。
民法の共有持分の分割では、その分割合意時点での持分権の交換として登記されますし、共有になったときから分割時まで評価が上がっていたときには、譲渡所得税の対象にもなります。
遺産分割の場合は、共有分割とは違い相続開始時(被相続人死亡時)に遡って所有権を取得したものとしての登記がされるのです。
協議成立または審判時点の所有権移転ではありませんから、相続開始時から分割協議成立時までに時価が倍に上がっていても相続税(相続開始時から10ヶ月内の納税義務です)以上の支払いをする必要はありません。
所有権取得は、相続開始時=被相続人死亡時までさかのぼるのですから、取得した財産の登記手続きが遅れていただけという扱いです。
前回紹介した、相続分譲渡に対する他の相続人の買い取り権や、この遡及効等を総合して、これを共有とは別の合有であるという学説が生まれてくるのです。
そこで、1ヶ月間に限るとは言え、他の相続人が、相続分を譲り受けた第三者に対して、譲受を申し出をできることにしたのが、前々回紹介した条文です。
これも普通の共有とは、違った制度です。
譲渡された相続分・・他人がせっかく手に入れた権利を他の相続人が強制的に譲り受けできる規定は、本来契約自由の原則・・財産処分の自由を侵害するものです。
強制収用・強制執行など特別の場合以外には、個人は私有財産を強制的に売らされることはありません。
この規定は、憲法原理からみても説明のつき難い規定です。
売主の買戻しならば、契約の一態様とも言えますが、売主でもないのに、自分に購入額と同額で売れと強制できるとはおかしな制度です。
売買を強制できるとしても、何割か乗せるから自分に売ってくれというのが、普通の商取引でしょう。
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