11/01/07
相続分30(民法359)譲渡4
譲り受けの意思表示を一ヶ月内にすれば、効力が生じる・・・形成権と言うことでしょう。
しかし、普通の法律は知ってからの期間と知らなかった場合の期間の2本立てにしているのですが、この場合、一ヶ月一本と言うのは不可解です。
たとえば、遺留分減殺の意思表示は、侵害されていることを知ってから1年、知らなくとも10年・・瑕疵担保責任も知ってから1年、知らなくとも10年、不法行為の損害賠償請求権は知ってから3年知らなくとも20年などです。
この一ヶ月の起算点を何時にするかが問題ですが、この書き方ですと、相続分譲渡のときになるでしょうから、他の相続人が気付いたときには、すでに一ヶ月経過してしまっていたと言う事態が殆どでしょう。
相続人間で対立している場合に、他人に売ってしまうのでしょうから、こう言うことは内緒で行うことが多いからです。
これでは、法の精神は形だけ他の遺族による買受権を認めただけであって、実際には機能しない前提の法律といえます。
相続分があると言うのは、行く行くは、協議がまとまれば遺産から、相続分相当の遺産が入手できると言う権利ですが、話し合いによっては、ある人がある土地全部を貰って、その代わり別の土地は要らないとか、墓地は欲しいが、車はいらないなどいろいろ複合的な話し合いが行われます。
そこには、他人間の経済合理的な話し合いよりも、非合理的な思い出とか、情に絡んだ話し合いが重視され、或いは、母親の住んでいる家は、価値の高低にかかわらず母が取得したり、そのまま住み続けるだけでなく、預金等金銭関係も母が生活できる程度を取って、残りが如何に少なくても、子供たちが残りだけを貰うような分け方も、非合理とはされません。
このように単純な共有物の分割とは分け方がまるで違います。
10筆の共有不動産と車3台があった場合、共有分割ですと、ある人がひとつの土地全部貰ったり、ある人が車だけ貰うという分割の仕方は、個別の持分権交換を原因とする移転登記手続きでなされるのです。
これに対し、遺産分割の場合、こう言うまどろっこしい個別の移転手続きではなく、まとめて、相続を原因として車の名義も変わるし、土地の名義も変わるのです。
そこで、遺族間の話し合いがつかないうちに、他人にこの分割協議をする権利・・相続分を譲ってしまうと、こうしたウエットな話合いは不可能になります。
そこで、他人を入れてしまっても、一定期間で買い戻せる(正式には売った人が買い戻すのではないので、買戻しではありません)としたものです。
期間制限があるのと対立しているとは言っても、他人に売ってしまうほどの人はいませんので、実際的には、大きな問題にはなっていませんが、この条文も普通の共有とは違う大きな点です。
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