11/04/04
保釈2(刑事訴訟法10)
ところが、このように手厚い人権保障の法律が出来たのですが、11月3日・・・3のコラムで紹介したように、これを運用するのは戦前の教育を受けた裁判官ではどうにもなりません。
02/01/03「刑事訴訟手続きの形式化(無修正主義の問題点7)のコラムで紹介しましたが、
「裁判官は、自白して争っていない人しか保釈を認めない」
のが、長年の運用で、これを人質司法と呼んでいます。
検察や警察は、これを梃子に「自白しないならいつまででも拘束を続けるぞ!」と脅し、他方で「反省さえすれば、刑が軽くなる」ともささやきます。
戦後あからさまな拷問は出来なくなりましたが、その代わり、「いつまでも帰さないぞ!」というのが、自白強要には、かなり有効に効いているのです。
争っている限りいつまでも拘束されたままになると聞いたら、たいていの人は精神的に参ってしまいます。
まして、罪を認めたところでせいぜい罰金か執行猶予だと警察に言われると、つい身に覚えがなくとも取調官に迎合してしまうものです。
私達が面会に言って驚くのは、犯罪の性質からいって、認めると何年も刑務所にはいるしかない事件でも、「これはどうせ執行猶予でしょう?」と聞いてくる人が多いことです。
「そんな軽い事件じゃないよ」と言うと今度は警察が「その弁護士は腕が悪いんだよ」と言う言い方で1日中一緒にいる被疑者を説得してしまいます。
被疑者も本当は、刑事の説明は信用していないのでしょうが、否認を続けると、無限大に拘束が続くと聞いて(実際オーム麻原の事件は10年近くも拘束されたままです。)嘘かもしれないが刑事の話に載ってみようと言うことになるのでしょう。
そして裁判になると、初めて重大な結果に驚いて、自白は本当ではなかったと言うようになるのですが、後の祭りというわけです。
死刑囚の冤罪事件は、殆どこのパターンでした。
こうした弊害があるために、どんな事情があろうとも「拘束が不当に長くなったら釈放しなければならない」と刑事訴訟法91条で定められているのです。
この「不当に長く」の意味は、そうした文脈で言えば、「裁判に必要な期間は5年でも10年でも不当ではない」と解釈すべきではなく、「普通の人が拘禁に耐えられなくなって、自由な思考が出来なくなる程度の期間を越えることは許されない」と解すべきでしょう。
まして、現在は、農業時代と違って、いまどき何ヶ月も勾留されていると、会社員はくびになるとか、自営業ですと倒産してしまいますし、時間的脅迫に耐えられる人は滅多にません。
20年程前に選挙違反事件をやったことがありますが、魚屋とか八百屋のおっさんが、ボールペンを貰ったかどうかの事件でしたが、任意調べと言って逮捕はされないのですが、毎日呼び出されて午前中一杯ほど調べられて帰ってくるのです。
本当のことを言わない限り、また明日も来てもらうといわれるのです。
これを1週間ほどやられると、殆ど全部が、しゃべってしまうといいます。
彼らに言わせれば、
「しゃべりさえすれば、あんたは貰っただけだから罰金だ、話さなければ何十回でも来てもらう」といわれては、大事な時間に市場へ仕入れにいけないし、「商売がつぶれてしまいますよ!」という訳です。
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