11/04/04
自白の任意性とは?(刑事訴訟法8)
刑事訴訟法
「第319条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁がされた後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。」
上記のように法律上は「自白の任意性の有無」が争点ですが、11月3日のコラムで説明しましたように、100%の任意は滅多にないのですから、実際は相対的なものでしかないのです。
民事でも友人同士の付き合いでもそうですが、いろいろないきさつから不本意ながら約束せざるを得ないことが、いくらもあります。
手形を振り出したくなくとも、取引上やむを得ず振り出したり、断りきれずに一緒に飲みに行ったりすることもあります。
でもこうした「仕方なし」程度では、任意性がないとはいえません。
世の中には、「本当は○○したかったのに・・誘われたから(親に言われたから、上司に残業を命じられたから、・・・ET CET LA・・・)出かけてしまった」などと言い訳する人がいます。
その人は、いろいろな選択肢の中から、(自ら選んで)一緒に行くこと(あるいは残業を断るかどうか損得を考えて)に同意したのですから、その人の行動は、本当の気持ちどおりだったのです。
このように考えると、法律上「任意性のない自白は認められない」と言いますが、(「殺す」と言われて「死ぬよりいいか」と思って自白するのもその人の選択です。)正確には任意性の「有無」でなく与えられた選択肢の程度の問題であることがわかるでしょう。
自白に関しても同様で、合理的な裏づけ資料に基づいた説得により、仕方なしに自白するのは当然許された自白でしょう。
私が談合疑惑に対し資料なしに漫然とした質問をしても仕方ないと言うゆえんです。
自白の問題は、どの程度の強制、どのような性質の強制が許されるのかが、実際上の問題となるのです。
では、どの程度の強制ならば任意性がないと言えるのでしょう?
直接的な暴力ないしこれに準ずる長時間連続の取り調べ、食事制限や言葉の暴力、家族への暴力などは、許されない強制になる点は争いがないでしょう。
では、長期間の拘束はどうでしょうか?
刑事訴訟法で、逮捕後起訴までの期間が最長23日間に法定されていることは、平成15年8月22日の「刑事訴訟法2」のコラムで紹介しました。
ですから、この期間は許された期間のように見えます。
こうして法律上「不当に長期の拘束による自白」は有り得ないかのようですが、実際の被疑者の心理状態はそう単純ではないのです。
起訴されるまでは、23日しかありませんが、起訴後直ぐ釈放されるわけではなく、裁判が終わるまで、期間は無限大なのです。
オーム真理教教祖の麻原彰晃が、もう10年前後も拘束されたまま裁判を続けていることを見れば、直ぐ分るでしょう。
関連ページリンク
稲垣法律事務所コラム内:ゆとりに関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:憲法に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:裁判に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:マスコミに関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:国家に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:政治家に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:刑罰に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:刑務所に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:刑法に関するコラム
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC