11/02/04

江戸時代の捜査機関1(目明し・岡引き1)(談合情報の真偽)

ついでのついでに、法制度よりも、実際の捜査を誰がしていたかを紹介しておきますと、江戸に限ると、町奉行と火付け盗賊改配下の与力、同心が捜査を担当しました。
ところが実際は、公式職制がそうだったというだけであって、本当の地道な捜査、聞き込みなどは、懐手で、ふんぞり返った役人が、往来の真ん中を歩いていても何も分りません。
また、11月1日「江戸時代の裁判5(同心3)・・・・1」のコラムで同心の役職を紹介したように、公的に引き出されてきた段階で、公式に記録を取るのが彼らの仕事であったようです。(役職名を見てください。○○書役と言うのが中心です。)
余談ですが、現在でも捜査機関に限らず役所の仕事は、記録をとることが大半です。
その前段階でシラを切っている容疑者に対して、役人がじかに質問しただけで、容疑者が認めるわけでもありません。
そこで、同心が私的に雇った目明し、岡引が捜査や下取調べの主力になっていたのです。
これと似た事例として、現在の談合情報についての調査のもどかしさを紹介しておきましょう。
すなわち、公共工事の入札に関して談合情報が寄せられますと、実施機関では、当日の入札を延期して、入札申込者を呼んで、真偽を確かめます。
ところが、そうした談合の事実がないと言い張り、誰一人認める者がいませんので、役所としては、談合情報の真実性が確かめられなかったと言う理由で、一定期間後にまた入札を実施するのが普通です。
その結果、情報どおりの業者が、情報どおりの価格で落札する場合が多くありますが、
   「如何ともし難い」
というのが役所の説明です。
   「皆さん、こう言う情報が寄せられていますが、そうした事実はありませんか?」
と聞かれて、
  「恐れ入りました、私(当社)がそういう談合をしています。申し訳ありません。」
と名乗り出る人がいるでしょうか?
私は、何年か前から、入札適正監視?か何かの検討委員会の委員になっていて、精神衛生上良くないこうした言い訳を聞いているのですが、談合の問題はまた別に論じるとして、ここで言いたいことは、以下のとおりです。
役人が、裏づけ資料もなしに漫然と聞いているだけでは、真実が出るわけがないと言う経験論です。
実際のところ、役人は違法なことが出来ませんので、黒子である非公務員の岡引きや目明しに汚れ役をやらせていたのです。
現在でも政治家は、ご存知のように秘書に汚れ役をやらせていますし、裏でブラックパワーを使うこともあります。(過去形ならいいですね)
(黒子と言うのは歌舞伎や浄瑠璃でご承知のとおり、その場にいても、いないものとして扱うという約束ごとです。)
場所も奉行所や正式な牢屋でなく、公式でない自身番屋で、公の目の届かないところ・密室で(現在問題になっている取調べの透明性、可視化の議論があるところです。)脅したり、すかしたりして泥を吐かせないと、どうにもならないところもあったようです。
このように書いていきますと、私が自白強要を奨励しているのかと誤解する方があるかも知れませんが、私は不透明な取り調べが必要と言うのではありません。
次に、こうした不透明な取調べ・自白偏重をなくす方策を考えてみましょう。




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