11/24/03

相続税法 14(基本法と特別法)(跡取り優遇制度4)

一人で全部または殆どを相続する慣行が、続いている現状を前提とした場合、税制として取るべき態度は、3通りあります。
税制上中立と言う態度で、自然にまかせて、社会慣行の落ち着く先に合わせるというのが、先ず一つです。
税の理論どおり、もらった分に(税と言うのは何らかの所得に課税するのが本来です)課税し、貰った人の分だけ控除を認めるのが、それにあたるでしょう。
そうした原理に任せると、民法の改正どおりの効果が現れ、均分相続がすぐ国民に行き渡ってしまいます。
これに対して、民法改正には反対だが外圧だから仕方ない。そこで、改正効果が少しでも行き渡るのを防ぐ為の税制もあります。
輸入品のように、高率の課税をして抑制する税制と同じです。
その結果舶来物は、昔はとても高かったですよ。
産業保護の為に、一定の新技術採用に対して、補助金を交付したり,(ソーラシステムなど)減価償却期間を短縮したり、或いは一定額まで減価償却資産にしないというように、積極的保護策もあります。
ワープロ・パソコンなどは、そうした税制のお陰で、私の事務所も購入する気になったものです。
減価償却資産になるのと、ならないのでは、事務処理コストがまるで違いますし、納付する税金も違ってくるのです。
昭和33年の改正は、民法の均分相続を家督相続に逆戻りの改正まではしないが、税務上、何とか押しとどめようとするブレーキ役の税制です。
憲法改正はしないが、自衛隊と言う軍隊でない軍隊をつくったのと似ています。
或いは、普通選挙を認めたと思ったら、同時に治安維持法を作って言論の自由を縛っていったやり方ですね。
アメリカとの経済摩擦時代には、輸入自由化と言いながら、非関税障壁をねちねちと工夫していたのと同じですし、今なら、構造改革、地方分権と言いながら、骨抜きに精出しているのと同じで、役人の最も得意な分野です。
平成15年11月9日「相続税法7」(跡取り優遇制度1)のコラム冒頭で説明したように、昭和33年法では、均分相続に反して、跡取が事実上全部相続する慣行を、奨励または後押しするように、実際に相続しない人の分まで頭数で控除できると言う制度と、その結果に対しての課税段階でも、みんなで相続したものとしての、実際と違った(虚偽の)計算申告が許されることになったのです。
そのうえ、放棄した人の分まで控除できるなんて、法理論も正義もかなぐり捨てた、なりふり構わぬ制度ではないでしょうか。
特定産業保護ないし抑制などは、相続税法と言う基本法でするべきではなく、特別法でしかも時限立法として規定するのが原則です。
基本法と言うのは、何十年もその骨格を維持するものですから、(45年以上たった今でも変わっていません)中立を守るのが原則です。
平成15年の贈与税の控除額の引き上げも、相続税法では60万円のままで、租税特別措置法に110万円に増額された規定になっているのです。基本法の相続税法だけ見ていると間違いますよ。
租税特別措置法は、特別法と基本法の中間的な法律で、何かと必要になる税金の基本法みたいな法律ですので、次回のコラムで参考の為に、租税特別措置法というものがあることを紹介しておきましょう。




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