11/23/03
相続税法 13(跡取り優遇制度3)
経済合理性に反してまで存続している5000万円の基本控除は、どういう政治的意味があるのでしょうか?
5000万円プラス1人1000万円と言う数字は、経済的には、一人っ子が相続しても、住んでいる家を売らなくてもいい程度の金額ですから、社会政策的には意味があるでしょう。
でも、もしも、家1軒相続するのに、6000万円も必要だとするならば、一家に1人だけ・基本控除ではなく、各人の1人当たり控除を5000万プラス1000万の6000万円とすればいいことであって、漸減して行く根拠にはなりません。
この考えだと5人の子供がいたら、3億まで非課税になるので、非現実的だとか、言う議論になりそうです。
本当にそうでしょうか?
「1人当たり5〜6千万円も控除したら、兄弟が多いと大変な額の控除になってしまうから現実的ではない」と言う批判は、遺産総額を課税対象とする考えに浸かっている(洗脳されている?)からに過ぎません。
要は、「一人あたりの相続をいくらまで非課税にすべきか」と言う社会の合意(コンセンサス)の有無であり、そのときは、1人当たりなら、2000万円〜3000万円を控除限度にするとかすればすむことです。
これでも、未成熟の子を抱えている妻が相続したときは、家一軒は控除できるはずです。
子供1人いれば、母子合わせて4000〜6000万円控除ですし、小さな子供が母と遺産分割で争うことはないでしょうから、家一軒程度の相続は問題がないのです。
また一人っ子の場合に親が死亡しても普通の家では、評価額が、3000万円もするような家は滅多にありませんから、殆どの場合(親の家は中古です)、住んでいる家を処分しなくてもすむはずです。
憲法の法の下の平等観念による相続税のあり方は、遺産総額の問題ではなく、1人の人間が、どれだけ以上取得すると公平に反するかでしょう。
5000万プラス1000万円と言う基礎控除の構造は、時代によって控除額が修正されるとしても(これまでも物価の変動に合わせて頻繁に数字は修正されてきましたが、)考え方は変わっていないのです。
「2人以上の子供がいたときに、全員が5〜6000万円の家をそれぞれ相続し、これらを維持するのまでは、認めないぞ、」、「相続人が何人いようが、一つの家だけは存続を認めよう」と言う考えの現れでしょう。
これは、一見庶民感情に訴えているようですが、実は、生まれによる差別を認めないのは、個人個人に関するものであって、家などの団体に対するものではありませんから、憲法14条の法の下の平等精神とは、全く関係のない思想で出来ていることが分かるでしょう。
長男一人に6500万円認めるならば、その他の子供もそれぞれ認めるべきですし、1人当たりそんなに控除できないと言うならば、控除額を2000万〜3000万円にするかどうかの議論をすべきです。
1回の相続に1人だけが、6500万円も控除できると言う制度は、「家の制度を保守する思想でしかない」というのが私の意見です。
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