11/19/03

相続の効力2(共有)(民法117)

相続人が複数のときには、誰がどの土地を取得するかの話し合いが決まるまでは、遺産に対する権利はどうなるのでしょうか?

「第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」

誰のものか決まるまでは、誰のものでもないと思う人もいるでしょうが、そうではなくて、相続人間の共有になるのです。

「第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」

このように未分割の遺産は、共有になるのですが、共有には持分割合と言うものがあります。
共有割合は、特別な約束がなければ、民法で平等であると推定されています。

第二百五十条 各共有者ノ持分ハ相均シキモノト推定ス

しかし、相続法では、以下のとおり決められています。

「第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」

となっていて、その割合は、法定相続分の割合になるのです。

第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼつてその効力を生ずる。但し、第三者の権利を害することができない

共有になっている遺産の分配が決まると、そのときに分割されたことにするのではなく、相続開始時に遡って単独所有になるのは、前回のコラムで紹介しました。
したがって、登記実務でも、被相続人名義から、共有相続登記をしてから、最後に単独相続者の名義になるのではなく、たとえば相続開始後3年経ってから、話がまとまって、ある土地がある人の単独取得に決まると、被相続人名義から直接にその取得者名義に登記されることになっています。
また所有権移転の登記原因は、○月○日の遺産分割協議ではなく、○月○日の何某の相続と記載されます。
所有権移転の日付は、分割合意した日ではなく、相続開始日を書くことになっています。
これが原則ですが、分割協議成立前でも、この間は共有となっていますので、相続人の1人が、他の相続人の承諾がなくても、(即ち誰の印もなく)自分ひとりだけで、相続関係を称する書面・多くは戸籍謄本類を添付して申請すれば、法定相続分とおりの共有登記をすることが出来ます。
この理屈は、権利保存行為であるから単独で出来ると言う理論によるものです。
共有関係の条文を、まとめて紹介しておきましょう。

第三節 共有
第二百四十九条 各共有者ハ共有物ノ全部ニ付キ其持分ニ応シタル使用ヲ為スコトヲ得
第二百五十条 各共有者ノ持分ハ相均シキモノト推定ス
第二百五十一条 各共有者ハ他ノ共有者ノ同意アルニ非サレハ共有物ニ変更ヲ加フルコトヲ得ス
第二百五十二条 共有物ノ管理ニ関スル事項ハ前条ノ場合ヲ除ク外各共有者ノ持分ノ価格ニ従ヒ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス但保存行為ハ各共有者之ヲ為スコトヲ得

共有者の1人が、自分の一存で登記できると言うのは、最後の252条の「但保存行為ハ各共有者之ヲ為スコトヲ得』と言う条項によるのです。
この結果、話し合いがつかないうちに、相続人の1人が、共有登記をしてその共有持分権を第3者に売ってしまったらどうでしょう?
登記の種類としては、共有持分権の移転登記と言います。
その場合の手当てが、909条ただし書きです。
遺産分割協議成立前に、相続人の1人が共有持分権を第3者に売ってしまった場合には、取引の安全の為に、遡及効が有るとしても覆す事は出来ない・すなわち第3者の取得が優先すると言うことになります。
3年も4年も経ってから、話がついたからと言っても、「いきなり3年前から俺の所有だったのだぞ、」と言う権利・そうした実態に反した擬制は、当事者間限りで有効であって第3者にまで言えないというのです。




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