11/15/03
小選挙区制と世襲
世襲が流行る原因は、競争原理がないだけではありませんので、この機会に小選挙区と世襲議員政権交代について考えてみましょう。
小選挙区制が出来てからの選挙は、今回で何回目でしょうか?
小選挙区制では、一つの選挙区で最高位者しか当選出来ませんので、当面は第1党が極めて有利になります。
本来は、少選挙区制でも、地域によっては、野党支持者が多いとかのばらつきがあって、全国の総合計をすると、比較第1党と言うのが健全な民主社会でしょう。
しかし、わが国では、「寄らば大樹の陰」の思想が長く続いたのと、長年にわたって官僚機構が強固な為に、与党病が国民の隅々まで行き渡っています。
政治家は、自分の意見は何かを訴えるのではなく、総理と親しいことを訴える写真を掲げるのが、政治家の売りポスターになるのです。
補助金行政の弊害を書いた平成15年10月3日の「教育改革」と14日の「憲法41」のコラムでも紹介しましたが、中央直結でないと何も出来ないのですから、政治家に実行力を求めるマスコミ報道では、与党有利となります。
そうした選挙スローガンがはびこる社会では、勝ち馬に乗るというかどこでもかしこでも、与党候補が最高位得票になる可能性があって、小選挙区制では、与党の大勝利になり勝ちです。
要するに、与党になっていると言うだけで、実力以上に得票の上積みが出来るのです。
今のように長年にわたる与党の失政の結果、大変革が必要だとなれば、「そうした大変革は、実行力のある与党しかない」と言う変な論理がまかり通るわけです。
ただし、小選挙区の良さと言うか、与党の有利の仕組みが、将来的に与党の首をしめていくシステムを内蔵しているのです。
一見パラドックスみたいですが、その原理は以下のとおりです。
与党候補である限り、野党候補より数段落ちる人材でも当選できるシステムであることから、どういう結果が生ずるでしょうか?
先ずは、与党の大幅議席獲得です。
たとえば、衆議院で300議席を取ったとしましょう。
次の選挙はどうなるでしょう?
300議席のうち死亡者や不祥事で辞任した議席以外は、現職優先公認ですから、また同じ人しか公認されません。
3〜5人区の中選挙区では、現職以外の官僚上がりとか有能な人材を併せて公認できたのですが、1人区では現職しか公認出来なくなっているのです。
これを繰り返すとどうなるでしょうか?
有為な人材が立候補したくとも、与党から出馬出来る選挙区が少なくなります。
有為な人材と言うものは、実は間断なく出ているのですから、(その分現職は間断なく陳腐化しているのです。)こうした人材は勢い野党からリクルートされることになります。
他方与党は、すべての選挙区で、20年〜30年連続当選議員のお爺さんまたは、たまに若いと思えば、途中死亡者の世襲議員ばかりとなってしまいます。
それでは、いくらなんでもやって行けませんので、与党としては、定年制を敷くことになります。
それでも今のように73歳定年では、73歳前後に集中してしまうと小泉さんが心配していると思いますが、そんなことになる前に国民が承知しませんので、与野党逆転が起きるでしょう。
そのためには、野党の政治理念が、与党と全く傾向が違うのでは、こうした受け皿にはなれませんので、自由党と民主党の合併は小沢氏の理念を実現したものとして、高く評価すべきでしょう。
前回の自民党の大勝は、最初の最有利を顕したものと言えるでしょうし、今回の民主党の躍進は、
人材が野党に移りつつあることをあらわしているといえるでしょう。
こうして、小選挙区制下では、現職が任期途中で死亡したときしか新人が公認されない流れが出来てきました。
この病理は、野党も同じですが、野党が現職の選挙区の方が少ない分、病理現象が少なくなります。
死亡直後の補欠選挙は、時間がないことと、同情票で世襲議員の当選率が高いことから、与野党ともにリスクの大きい第3の候補を公認するよりも、手っ取りはやい世襲議員を公認するようになっているのです。
こうして何回か選挙を重ねると、与野党ともに、自分の勢力圏では、老人か無能世襲議員ばかりとなってしまいますので、勢力圏が入れ替わって行くと言うのが、私の希望的観測です。
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