11/13/03

世襲と競争社会 2

ここ十数年来は、世界大競争と言われる時代に入っていますので、事業体にとっては、戦国時代と同じですから、能力の有無に関係なく、経営者が世襲していたのでは、すぐ倒産(戦国時代では、落城の憂き目)してしまいますから、そんな悠長なことはしてられません。
日産自動車のゴーんさんの例を考えると、社内から昇進するシステムでさえ、後の時代に考えれば、一種の世襲制度だったということになるかもしれません。
昔から世襲と言っても、大きな組織は、天皇家から小さいところでは下級武士・庶民に至るまで、つまるところ大小の違いは有っても、結局は家の相続、世襲でしかなかったのです。
その家が、今では天皇家を除いて核家族化してしまい、家にまつわるファジーなもの、事実上の権力が消滅してしまったので、世襲制度は遠い過去のものと思われているだけであって、今でも世襲のメリットがあれば、世襲して行きたいのは人情です。
今では、格式だけ世襲しても、お祭りなどの寄付その他の負担が大きいだけで、これと言ったプラスもなくマイナスだけですし、個人事業家を世襲しても、事業の継続は無理な時代になってきましたので、世襲は減少する一方です。
政治家を除いて、世襲が激減しつつあるのは、法制度の変更や民主主義思想の広がりによるのではなく、メリットがなくなったからだけのことなのです。
ここにきて、政治家の世襲が目立つのは何故でしょうか?
これまでの私の考えから言えば、「代議士になってからの競争がないからである。」と言う帰結になります。
政治家でも不動産屋、蕎麦屋その他何屋でも、(公務員でさえ)一旦なってしまえば、競争のない業種があるのは、消費者(国民)にとって不幸です。
政治家にとっての競争とは、選挙に勝つことでしょうか?
そうではありません。
銀行、証券会社や、不動産屋等々の自由競争と言うのは、資格(銀行免許、宅建取引主任免許)取得競争・参入制限が厳しいかどうかではありません。
銀行や不動産屋を始めても、業界内競争に勝てなければ退場する仕組みでなければ、競争があるとはいえないのです。
不動産屋とかレストランは簡単に倒産、廃業しますが、銀行の倒産は殆どありません。
社会的影響が大きいと言う理由で、保護しているからです。
この過保護が、自動車その他産業が激烈な国際競争に勝ち抜いて、せっかく稼いだお金を、下手な金融取引で損ばかりして、英米に搾取され続けているのです。
競争力のない銀行や証券会社は、どしどし倒産させて、消費者保護は、保険その他のセーフテイネットを整備するのが常道でしょうが、バブル崩壊後15年近くも経っているのに、いまだに銀行はつぶせないと言うマスコミの論調です。
せっかく駄目な銀行がつぶれそうになって、いよいよ退場するのかなと期待していると、マスコミは大騒ぎして政府の大責任のように主張するものですから、政府は合併させたり、公的資金を投入して御茶を濁しているばかりで、一つも銀行がなくなりません。
話がまた横に行きましたので、政治家の世襲に戻しますと、政治家は一旦当選すれば、次の選挙で落ちない限り(業者で言えば免許更新で引っかからない限り)退場システムのない今のシステムが、世襲を助長しているのが分かります。
銀行為や証券、「医師などは参入を厳しくしているからいいじゃないか」と言う議論で今まで来たのですが、参入制限だけでは国際競争に勝てないことが分かってきたのです。
政治家は、部外者が参入するのは極めて困難ですが、その逆に世襲議員にとっては、参入が極めて容易なのです。
強固な地盤があれば、それを承継するだけで、原則当選できるのですから、(いつも例に出して気の毒ですが、小渕元総理の娘さんや中曽根元総理の息子を思い出してください)参入制限すら免除されているのです。
超一流高校に無試験ではいっても、授業について行けなければ意味がありませんね。
或いは、能力もないのに、親の威光でプロ野球にはいってレギュラーにしてもらっても、三振やエラーばかりではやっていけません。
長島の息子はエラーばかりと言うのではありませんが、止めてしまいましたし、野球の世界には世襲がないのが参考になるでしょう。
政治家に世襲が多くなったのは、参入が容易であることに加えて政治家になってからの適正な競争原理が働いていないことが、世襲を助長していることが分かります。
どうすれば、公務員や政治家も競争社会に出来るのでしょうか?
これからは、冒頭に書いたように個人事業の世襲は無理ですから、景気の波に拘わらず経営者が高齢化すれば、次々と廃業して行くでしょうから、その代わり、新規参入を簡単にする必要があります。
これまでの日本社会は何かにつけて、役人特有の「何か有ったら誰が責任を取るのだ?」言う論理で、なにからなにまで資格や参入制限を厳しくする傾向があります。
そして何か事件がおきると、マスコミや野党は役人の監督責任を追及したがりますが、そのたびに官僚の取り締まり権限を強化する一方ですから、社会が窮屈になるばかりです。
何となく、マッチポンプみたいで、裏で役人とマスコミや野党がつながっているのではないかとさえ思えるほどです。
事件が起きて大騒ぎした結果は?というとせいぜい10日間の業務停止とか入札参加資格停止程度の軽い処分でしかないのです。
それも、その営業所だけと言うのですから、汚職や談合は、やり放題です。
事前監督ではなく、事後の市場退場システムを作ればいいのです。
交通事故みたいな過失によるものではなく、利益を目的に合理的に考えた犯罪ですから、結果のマイナスの方が大きければ、誰も談合はしなくなるでしょう。
このように事前規制よりも事後規制のほうが合理的なのです。
新規参入を厳しくして、参入後の競争を制限する社会では、特例を受ける不公正(コネや、裏口入学など)が発生し易くなりがちです。
これからは、参入を容易にして、参入後の競争を自由にするべき時代になっています。
教育改革に始まって(入学をやさしく、出るは厳しく)あらゆる社会事象を通じて言えることでしょう。
政治家も、国会議員が多すぎるのですから、任期満了までには、下から200人くらいは、途中で落第させてしまうシステムが作れないわけでは有りません。
今も世襲の残る、或いは新しく世襲が増える分野は、競争原理の働かない不公正な分野であることの証明です。
彼らは、自ら、病理現象を示すことによって、改革を求めているのです。




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