11/26/02
民法の限界(民法13)
民法は、もともとも資産家を対象としたものである事を国会の機能3のコラムで説明しました。
民法制定後、特に戦後は、大衆が市民権を持つ時代になって来ました。
アパートを広大な邸宅を意味するマンションと言うように、或いはエリートでなくとも、大学にいけるように、次第にかさ上げされて、皆が(八さん熊さんに当たる労働者も)市民と呼ばれるようになって,ブルジョワまで行かなくとも、それなりの土地を持ち、電化製品や車を持って小市民となってくると、法的紛争に参加するようになります。
そうなると、教養と財産のある、考えのしっかりした人同志の『対等な契約』を前提とした諸制度がうまく行かなくなって来ます。
対等な契約が出来なくなった為に雇傭に関しては、労働関係法が出来、借地に関して借地法、借家に関しては、借家法ができました。
その後、更に大衆社会化が進んで(市民社会から大衆社会へ)来ますと、サラ金規制法や消費者保護関係法も発達して来ました。
これらはすべて、社会の進展に合わせた民法の修正の一つと言えるでしょう。
クーリング・オフと言う言葉を聞いた事があるでしょうが、一人前の人間と人間の約束は、守らなければならないのは、ローマ法以来続いて来た最低のルールです。
しかし、消費者と供給者とは対等の商品知識がないばかりか、詐欺まがいのセールストークに惑わされ、正常な判断力を失って、過って契約してしまいがちなので、一定期間内に限って契約を解除出来るようにしたものです。
つい最近改正された後見に関する分野も、そうです。
法律行為能力に欠ける所のある人の能力制限規定なのですが、従来は、禁治産者、準禁治産者と言う名称でした。
「禁治産』と言う漢字を読めば分かるように、『資産を治めるのを禁止する』と言う題名になっていたのですが、改正後は、被後見人とされて、資産の管理の為ではなく、純粋に法律行為能力の規定になったのです。
このように、市民の法は、資産家を対象とするものでしたが、時代の進展に合わせて、純粋な法律行為能力制限の名称に改めたものと言えるでしょう。
ただし、実際の選任申し立ては、惚けた親の資産管理をめぐる争いが殆どです。
資産をめぐる争いがなければ、わざわざ申し立てる実益がないのですから呼称が変わっても運用がそう変わるわけでは有りません。
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