11/25/02
国会の機能(贈与税軽減策)4
老人が資産を渡さないと言いますが、渡さないのは、昔で言えば、隠居分に相当する、老後の生活補償分でしかない事は前回のコラムで書きました。
昔は老後が短かったので、ほんの僅かの老後資産で足りたでしょうが、今は、何時死ねるのか誰にも分からない時代ですから、(丈夫な人は90歳くらいまで生きるのが予想されます)約30年分の老後の貯えと言うと、かなりの物が必要になるでしょう。
老人が抱え込んでいると言われても、老後を考えると、おいそれとお金を手放せないのです。
最近、老後補償以上の資産を持っている人の相談に載った事がありますが、自分が生きている内に長男には自分の住んでいる屋敷をやるが、その他の子供には、それぞれに家を建てておいてやりたいと言うのです。
私は贈与税が高いからそのやり方は、やめておいた方が良いとは言いましたが、それで終わりにしたのではありません。
『何も、息子の名前で建てなくとも、自分の名前で建てて、住まわせてやれば同じ事じゃないか。貴方が死ねば、それぞれ次男や妹の住んでいる土地建物を次男や妹が相続する話が成立する事100%なので、相続争いも起きないでしょう。
それでも心配なら、遺言書を作っておけば良いでしょう。ま、先に何があるか分からないから、できるだけ自分の名義で残して置く方が安全でしょう。
老人でも夫婦が揃っている間は、かなり立場は強いですが、貴方が死んで、奥さんだけになると、家屋敷全部、子供名義では、奥さんが凄く弱い立場になると思いますよ。』
と話して、遺言書作成をアドバイスした事があります
このように土地が有る人は、息子や娘にその土地を貸して家を立てさせればいいのであった、無理に贈与する必要がありません。
そこまでの財産がなくて、少しの援助なら(お金だけ)できると言う人の為に、贈与税を軽減する必要があると言う意見があるでしょう。
でも親が子供に出し渋るのは、老後どれだけ生きるか分からない不安があって、税金を楯に応じない事もあるのですから、(退職金2000万円あるならそのうち1000万円出してよ。と言われると困る親が多いのではないでしょうか?)そう言う抵抗を押し切って、無理に子供世代に移転させるのが景気対策とは言え、良いかと言う議論が必要です。
やっと貰った退職金の大半を子供に渡さないのは、贈与税が高いからと言うのではなく、親世代が、子供を信用していない点にあるのです。
今の親世代は、(私も含めて、)『老後を子供の世話にならない』と言う人が殆どと言って良いでしょう。
そう言う親子の断絶(不信と表現しましたが、『世話になれるとは信じられない』と言う国語的な使い方です。仲が悪いと言うのではありません。)を所与のものとしたままで、贈与税だけちょっといじると言うのはどうかと考えるのです。
国民が望んでいるのは、抜本的な構造改革であり、老後不安をなくす改革(年金制度、介護の充実)ではないでしょうか?
こうした大事な問題を等閑にして、姑息な贈与税の非課税枠だけいじり回しているのでは、国の将来が心配ですね。
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
