11/18/02

保険制度について 1

保険の話が出たついでに、ほんの少し、(本格的には、保険法のコラムを書く機会があっったときに書きますが)前回のババ引きの話に関係する限度で書いておきましょう。
保険を大きく分けますと、生命保険、損害保険、健康保険(国保を含む病気関係保険を言いますその意味では厳密な定義ではありませんので)の3種類があると言えるでしょう。
前回までのコラムで書いて来た事と直接関係があるのは、損害保険です。
火災保険や盗難保険の例で考えますと、被害者が放火犯人や、窃盗犯人に対して、損害賠償請求をしても、滅多に取れるものではありませんので、そのリスクを数値化して(企業経営は予測可能=数値化こそ必須であります。)保険料を毎月支払って損失を均等化している訳です。
保険会社は、犯人や加害者に代わって、損害額を保険金額の範囲内で被害者に支払いますが、その代わり、被害者に支払った限度で、被害者の加害者に対する損害賠償請求権を法律上当然に取得します。
これを保険代位と言います。(商法662条)
しかし、保険会社と言えども、窃盗して捕まっているような人を相手に裁判しても(放火犯人の場合、中には資産家と言う事もあり得ますが、)日本には怪盗ルパンみたいな金持ちの泥棒はいないので、犯人を相手に裁判しても仕方ありません。
言わば、保険会社が、毎月の保険料を支払って貰う対価として、ババの権利(不良債権)を買い取っているようなものです。
このように法律実務の世界では、最終的な権利者になるのは、損な役まわりと言う事で、押し付けあいが、裁判のテーマとなっています。
ところでこれと似た話で、銀行の不良債権を「帳簿上の消却にとどめず、終局的に切り離さない限り、財務内容が悪化するばかりだ」と言う議論を聞いた事があるでしょう。
この話は、不良債権は不良債権として、2束3文で第3者に売却してしまえと言う議論です。そうしてその売却金収入を帳簿価格にすれば、それ以上損害が拡大する事がないからです。
こういうボロ債権を買い取る会社があって銀行はさかんに処分していますが、(私のところにもしょっちゅうケイマン諸島に本社のあるカタカナの会社に譲渡したと言う通知が来ますよ )これは既にリスクが発生している債権の売買であって、保険とは本質が違います。
ここで保険の定義を私流に簡単にいいますと、将来の不確定なリスクを保険料を貰うのとひきかえに引き受けると言う事です。
念のため、読み難いと思いますが条文を引用しておきましょう。
 『損害保険契約ハ 当事者の一方カ 偶然ナル一定ノ事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ヲ填補スルコトヲ約シ 相手方カ 之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ 其効力ヲ生ス』(商法629条)




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