11/08/02

胎児の権利能力(民法 4)

人となるのは出生によって始まる事を説明しました。
その結果、胎児には人としての権利能力が有りませんが、全く何の権利もないと言う事ですと、相続の時に不都合な事が起きます。
初めての子供がうまれる前日に夫が死亡した場合を考えてみましょう。
夫の死亡の翌日に生まれた子供には、相続権が全く有りませんので、昔の長子相続の時代ですと、奥さんは何の相続も出来なくなりますし、子供も跡継ぎではない事になって人情に合いません。
現在の相続法でも、子供がいないまま死亡したと言う事になりますと、相続財産の一部は、夫の親の物になります。
また、三人目の子供が父親の死亡の翌日に生まれた場合、その子だけが相続権がない事になって人情に反する事になります。
こうした不都合をさける為、相続など特定の場合に限り、『胎児が無事生きて生まれた時には、、出生したものとみなす。』と言う意味の特別な条文が用意されています。
この結果、夫または妻の場合でも、胎児のうまれる前に死亡して胎児だけ助かったような場合には、相続権が認められるのです。
このように胎児は出生を条件に権利が認められるのですが、この条件の性質については、解釈が分かれています。
そんな事まで争いが有るの?と思うでしょうが、どんな細かい事でも、ああでもない、こうでもないと、隅々まで論じ尽くすのが法律家の仕事というものです。(法律家はこれを精緻な理論の積み重ねと表現します)その上ローマ時代からやって来た事ですから、それはそれは、細かく論じ尽くされているのが民法の特徴です。
ですから民法の条文をきっちり、勉強しますと、結構頭の体操になりますし、(ぼけの防止の効果が有るかも?)世の中の大抵の仕組み(の基本法ですから)が分かるようになりますので、愉しみに付き合って下さい。




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