10/29/07
相続分26(みなし相続財産8)(民法354)
兄弟みんなの合意があっても、親の意思能力のない状態で子供たちが無断で預金を下ろしたり不動産を処分した場合、「一応」違法です。
しかし、こうした場合、将来この違法行為を誰も問題にする人がいない・・本人は永久的に意思能力が復活することが有り得ないのですから、(高齢化による痴呆の進行の場合)本人が訴えることは有り得ないし、処分行為で遺産が減って被害者になるのは、結局相続人ですから、推定相続人全員が合意している限り、被害届出、告訴する人がいないのです。
ですから、誰かが自分だけ内緒でうまいことをしようとしている場合以外には、新たな印鑑証明など、どうにでもなるのです。
法的には後見人が必要ですが、推定相続人全員の同意の場合には、後で無効だと争う人がいないので、後見人選任をして巨額の費用をかける必要がないので、殆どの家庭では、事実上自由に預金を下ろしたりしているのです。
実際、行政もこの辺は不明瞭な運用で、特養その他の介護施設への入園・・入院契約も、意思能力のない本人がしないで、家族が代って契約しているのが普通です。
(田中角栄氏の晩年も、ずっとボケていたはずですが、後見人選任まではしなかったでしょう。)
こうした実情は、社会にいくらもあります。
アパート経営などでテナントがいなくなった場合などに、その親兄弟に連絡して引き取って貰うなど事実上の解決をしている事例は枚挙に暇がないほどです。
その都度、弁護士に頼んで、行方不明者相手に裁判どころか執行までやっていられないのも分かります。
上記は社会の実情を書いているだけであって、弁護士として、違法行為を奨励している訳ではありませんので、お間違いのないようにお願いします。
ですから、新聞記事の言いたいのは、誰かが他の兄弟に内緒に預金など下ろそうとすると、最近金融機関では本人確認がうるさい・・・といっても印鑑証明と委任状で良いのですが、印鑑証明が必要になって自由気侭に下ろせなくなる、・・・無理が出てくるということでしょう。
そうしたごまかしを続けるためには、「入院前に印鑑証明を取って委任状も貰っておきましょう」というのが、この新聞論説の言いたいことでしょう。
社会の公器である大手新聞まで、こうしたことを恥かしげもなく書くほどに、今では同居者が他の兄弟には内緒でほしいままにする事例が多いのです。
自分の不正取り込みは、ほっかむりして、たまに貰った弟妹に言いがかりつけるような現状は問題です。
みなし相続制度は、現在では遺産分割をややこしくしている害の方が大きいので、これを廃止するか厳しく運用すべきでしょう。
他方で・・被相続人が高齢化してからの不動産処分や預金、有価証券類の大幅減少に対しては、事実上管理していたものの責任にするなど・・・他方で数十万円単位の送金や贈与は問題にせずに、(兄弟の仲で突出している事情の主張立証があった場合だけとし、不動産取得資金として与えたなど例外的場合に限定して運用する必要があります。
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