10/23/07

技功的生き方と生活の知恵(君子・法・は豹変す)2

私は、ただそれだけではないと、そのころ思いました。
庶民にとっては、戸籍に関係ない子供を入れるなんてことは、一大事でした。
素朴な恐怖感、防衛本能がそうさせるのです。
今でも、戸籍が汚れるとか、お墓に入れるのは氏が違うからどうとか、破産だけはいやだなど、ものすごくこだわるのは、庶民のほうが、圧倒的に多いのです。
ところが、インテリと言うのは、浅知恵と言うかそのときそのときの法律をなまじ知っているために、長いスパーンで見ると失敗する人が多いようです。
現在でいえば、「氏などは、しるしみたいなものでそれ以上のことはないよ」などと、現在の法律を基準に考えがちです。
戦前の制度では、長子家督相続制ですから、4〜5人子供がいる人にとっては、あと一人や2人戸籍に入ろうが入るまいが、相続権にはまったく関係ありませんので、当時の法制度を前提に観念だけで考えれば、何故、そんなことにこだわるのか?ということになりがちです。
まして女子の場合、家督相続順位がそこまで行くことはめったにないので、安易に引き受けていたようです。
戦前の人々にとっては、家督相続制が完全に覆るときがいきなり来るなんてことは、文字とおり、夢にも思わなかったでしょう。
そこで、結構財産のある旧家に限って、戸籍に記載があるけれども、家族中誰1人顔すら見たことのない弟妹が存在することになったのです。
こういう生活の基本の制度でさえ、一朝にして覆るときがあるのです。
それでも、20〜30年以上も前に戸籍に入れたことなどみんな忘れてしまっていますので、昭和40年代になって80代のお爺さんが死亡してから、相続しようとすると、戸籍に見ず知らずの人が記載されていると言うことで大騒ぎになります。
税金でもこういうことがありました。
バブル直前ころまでは、土地に対する相続税の評価は、時価の約6割でしたが、現金が仮に2億円あると、相続財産を(控除する前の計算です)そのまま2億円で計算しなければなりません。
その2億円で2億円の土地を買っておけば、1億2000万円の評価になるとすれば、誰でも、土地購入をしたくなります。
そこで、さらに進んで浅知恵と言うか利口な人は、不動産屋と銀行の口車に乗って お金がなくとも、借金して、例えば5億円のビルを建てれば、その利息以下の家賃収入しかないので、毎年の所得税が安くなると言われて、その気になる人がいっぱいいました。
バブル直前ころの、不動産投資利回りは、普通2%で計算していましたが、銀行金利は、7〜8%前後でしたから逆ザヤもいいところでした。
そりゃあ、損をすれば税金が安くなるのは当然です。



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