10/19/07
認知の効力3(民法330)
認知に遡及効があると言うことは、認知によって新たに相続人になった人を除いた認知前の遺産分割は、無効になります。
(遺産分割協議は、全相続人の参加・・合意がなければ効力が生じませんが、認知された人を除いた協議になるからです。)
認知前に戸籍上記載の子らだけで相続したとして、相続登記したとしても遡及的に無効になります。
ですから、その登記を前提に土地などを第三者に売却してしまっていた場合、その第三者の取得は、無権利者から買ったことになって、無効になる理屈です。
それでは、家庭内のトラブルを元にした結果、無関係な人に迷惑をかけます・・取引の安全を害するので、784条但し書きは、第三取得者の権利に影響を及ぼさないと言う意味です。
これは、以前08/25/07「無効と有因主義(民法298)第三者保護2」前後で説明した物権変動の有因主義を前提として、その例外を定めたものです。
次に紹介する785条の認知の取り消し禁止は、どういう意味でしょうか?
遺言や贈与の取り消しが、口語体になったとき「撤回」変ったように、実質的撤回の意味でしょうか?
それならば、このときに、この条文も一緒に撤回に変えられている筈ですから、もうちょっと違った意味があるのでしょう。
そもそも撤回の意味ならば、特に認められたときだけの特権ですから、どの段階でも撤回が出来ないならば、撤回出来ないと書く意味がないのです。
贈与の撤回やクーリングオフで紹介したように、一定の状態になると撤回できない・・・それまでは「出来る」と言うことに意味があるのです。
と言うことは、ひとたび認知された子供の人権への配慮などから、民法の普通の取り消しも許されない特則と読むべきでしょう。
これとパラレルな関係では、776条で一旦嫡出承認をしたら、その後に否認できないとなっているのも、同じ趣旨でしょう。
認知は事実の確認行為であると判例でなっているのですが、確認した以上は事実が違うからといって、もはや取り消しが出来ないのですから、一種の形成権みたいな効果があるのでしょうか?
事実確認行為ならば、騙されたとかいろんな主張ができる筈ですが、ひとたび嫡出を認めたりすると身分関係が確定してしまい、その後事実が分かったとしても事情如何にかかわらず、やり直しを認めないのです。
一般の取り消しの意味についても、そのときのコラム08/27/07「贈与取消と撤回4(民法232)」前後で取り消しと撤回の違いを比較して紹介しました。
民法(認知の取消しの禁止)
第785条 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
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