10/17/07
夫とは?2(民法325)
しかし明治30年代に民法が施行されてころに、夫婦という言葉が一般的だったとは思えません。
日本語として普通、「めおとの契り」というように、「めおと」のことを、イカメシく漢語で「夫婦」と表現しただけのことでしょう。
夫婦の「夫」とは、元々人が冠をかぶった状態ですから、高官・・士大夫の男性を表す言葉で、夫人とは元は皇后の次に位置する女性の尊称でした。
そのうち時代が下がり、諸侯の正妻の称号になるなど、庶民向けの言葉ではなかったのです。
万葉集に出てくる藤原の夫人(ブ二ン)などは、そのわが国での使用例といえるでしょう。
藤原の夫人は、中臣鎌足が藤原の姓を賜った後に、その奥さんに対する尊称になったのですが、その奥さんに対して天皇からの歌が残っているのです。
このように夫人という呼称は、庶民には、元々関係のない言葉だったのです。
他方で、夫婦の婦はどうでしょうか?
誰かの妻というのではなく、元は女性の総称でしょう。
このように考えていくと、夫婦とは当時自明の熟語ではなく、戸籍上の造語に近かったかったといえるでしょう。
戸籍制度定着のために、戸籍届出さえすれば、夫婦という立派そうな名称を付与されて、しかも子供の方は、嘗て源氏のような名門でしか使われなかった嫡出子というご大層な呼称も用意されたのです。
こうして、夫婦という名称が、格好よいということで、日常用語としても、定着していくのですが、夫婦とは法の期待に反して、戸籍届出した関係だけでなくもっと幅の広い意味で使われているのです。
かなりの女性が、月に約一回、お金を持って帰ってさえくれば、タバコを吸っても吸わなくとも、風呂、飯、寝る、と言っても言わなくとも、夫として及第と言う考えで、生活しているかも知れませんが、そういうことは法律の要件ではありません。
民法を見ると、夫の定義だけでなく「夫婦」と言う単語も何の定義もなくて、あちこちに出てきます。
民法で言うところの夫婦とは何でしょうか?
社会学的には、性関係を伴いながら共同生活を基本とする異性関係を言うことになるのでしょうか?
そうなると高齢化して、性的関係がなくなれば夫婦ではなくなってしまいます。
現在または過去に性関係にあった・・・と言う修飾語を加えれば、高齢夫婦も何とかなるでしょうか?
このようにいろいろな場面を想定するといろんな定義の仕方が考えられます。
いずれにせよ、言葉だけでいろんな場合に適合する定義するのは、意外に難しいのです。
(社会によっては、子供が生まれて初めて正式な夫婦と呼ばれることがあっても、おかしくありません。
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