10/12/07

財産処分の自由と遺留分制度(民法309)

ところで、親の立場からすると、自分の築いた財産である以上は、好きなように、に好きな人にやりたいと言うのが人情でしょう。
自分の財産なのに、民法では、子供や兄弟には遺留分があるので、全面的に自由にやりたい人にやることが出来ません。
これは戦後の相続編の改正法施行当時には、まだまだ先祖伝来の財産のしめる割合が多かったので、自由処分権に一定の歯止めが必要な時代でもあったからでもあるでしょう。
戦後直後の家督相続制の廃止に対する反発・・遺言の多用が均分相続制定着の空洞化の役割を果たすのを防止するためには、遺留分制度はある程度役に立ったかもしれません。
そういえば、相続放棄が生前に許されないという制度も、せっかく家督相続制否定をした趣旨が没却されないようにするものでした。
私が習ったころの民法の教科書では、父親の権勢のあるうちに、長男以外のものに対して放棄を迫ると、事実上の家督相続になってしまう危険性を心配した規定であると書かれていました。
しかし、先祖伝来の遺産の占める割合が減少し、家督相続への郷愁が弱まってくると、こうした強制的規定は不要になってくる・・実害のほうが大きくなってくるでしょう。
ところで、生前の相続放棄は許されないというのが当然の前提で、法律家はだれも疑問に思わないのですが、条文を見ると生前放棄が禁止されているわけではなく、解釈上そうなっていると言うだけです。
以下の条文を見れば、分かるように、相続放棄を出来る時間的始まりは、「相続開始を知ったときから」ですから、生前に特定の人の「相続開始を」知ることは論理的に、不可能と言うしかないでしょう。
近い将来の予測が当たることはあるでしょうが、予測と言うのは未来形で「知った」(過去形です)ことには、ならないのです。
では、予約できるかと言うことになってきますが、放棄というのは国家に対する単独の行為であって、契約ではありません。
誰に対する予約か?と言う点で、予約構成はつまづくでしょう。
ですから政治家の約束同様に、被相続人の生前に「俺は放棄するよ」と兄弟に約束しても法的には兄弟に対する約束にはならないので、兄弟がその約束の履行を迫る権利は発生しません。民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

(遺留分の放棄)
第1043条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
《改正》平16法147
2 共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。



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