10/06/07
贈与税と売買契約1(民法295)
ところで、贈与税は、33年の相続税の改正によってもらった方が払うことに変ったのですが、実際のところ、贈与税の心配をするのは、貰って税金を払うことになる子供よりは、贈与する親が贈与すると税金がどうなるか心配しているのが、今でも現実です。
法律が、受贈者ら税を取るように変わってから、50年近くも経つのに、親が未だに心配しているのは、法律が変ったのを知らないからではありません。
親からしてみれば、今でも、自分の財産をどこに預金したら得か損か、不動産を誰の名前にしておくのがよいか?という程度の税務対策的・・財産隠し的発想なのです。
貰う方は、仮に半分税金に取られても、貰わないよりもらったほうが得ですから、税金を気にするよりは、本当にくれるかどうかの方が先ず気になるのは当たり前です。
貰う子供世代の方は、税金を全然・・というと言いす過ぎですが、贈与する親ほどには、心配していないのです。
そこで、親の方は、税金対策のために子供に契約書上だけでも、売ったことにしたらどうかとなるのです。
売買の方が税金が安い・・値上がり分だけしか課税対象の譲渡益になりませんから、それだけでも課税対象額が低くなるのです。
たとえば、6000万円の土地建物を贈与しても、これを売買契約とすれば総コスト5800万円で購入したものであれば、200万円しか譲渡益が発生しないことになります。
(ここでは分かりやすくするために、家の減価償却分など、細かい計算を省略しています。)
これが贈与だと、貰う息子には、取得経費は関係がありませんから、貰った資産の評価額6000万円が丸々課税対象になります。
(これまで、08/20/07所得税法8(控除等2)前後で紹介しているように、その他の各種控除があります。)
このように、贈与形式よりは売買の方が圧倒的に有利ですので、売買として処理したいのが人情ですが、契約書だけがそうであっても、税務署も簡単に売買を認めてくれません。
契約をどうするかは当事者の自由勝手で、税務署がとやかく言う権利はないのですが、真実の契約は贈与であって売買は仮装であると認定して贈与税を課税することが可能です。
こうして、売買は仮装・・虚偽申告であるとして贈与認定(更正決定)してきますので、却って後で高い税金(加算税や延滞税)を納めることになり兼ねません。
契約をするのには、別に税務署の許可認可が必要ではありませんが、税務署が贈与だと認定課税してくれば、(更正決定)あとは、この処分に対する異議申し立てあるいは、国税不服審判を経て裁判(行政事件訴訟法)で、本当はどうであったかを争うしかなくなります。
民主国家ですから、最後は、裁判所が真実の契約は何かについて、認定する仕組みです。
裁判の結果、税務署の認定どおり贈与であるとする結果が出ても、その場合でも契約自体の効力は、当事者がそれで良いとして認めていればそのままであって、登記の記載なども変る訳ではありません。
飽くまで税務認定が、契約書上の記載と違う結果になるだけです。
当事者も、登記原因を変更するかどうかは、別問題です。
当事者の契約の自由に国家が容喙するわけではないのです。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
