10/18/06
大岡裁きの不存在3(衡平法裁判所1)
細かい裁判実務に関与していなかった筈の大岡越前を主人公にした大岡裁きなどの名裁きをテーマにする講談が発生した背景は、何でしょうか?
一つには、平成16年2月1日以降に連載したように、明治政府によって、官僚機構創設者である吉宗とその系譜に連なるものに対する賞賛・・・でっち上げ政策があったのではないかと思います。
また、もう一つには、江戸庶民が赤穂浪士の討ち入り・・・忠臣蔵に喝采を送ったと同様に、先例主義で硬直していた江戸時代の裁判・・正義に対する国民の不満が生じていたのかもしれません。
この不満を吸収する為に、柔軟な解決を求める逆の期待、現状への不満から三方一両損みたいな話が生まれてきたようだとも言われています。
ちなみにイギリスでは、普通法裁判所と翻訳される・コモンロウ裁判所に対して、衡平法裁判所と翻訳される(公平ではありません)・エクイテイ裁判所がありました。
フランス革命や、マグナカルタ11/20/05「朱子学3(理気二元論 )思想・信条の自由(憲法134)」のコラムで書いたと思いますが、権利の章典・革命などは、社会が進んでいたのではなく、そこまでしなければならないほどの抑圧があって生まれるものだと言うのが、私の基本的立場です。
三方一両損の裁きやエクイテイ制度の発達は、それだけ社会が硬直化していた裏返し・・証拠とも言えるのです。
ところで、公平という単語は見慣れている方が多いでしょうが、衡平となると見たこともないと方が多いのではないでしょうか?
公平と衡平の違いは?となると、私もよくわかりません。
以下は、いつものように私の非学問的な推論です。
今では、世の中で「公平」が普通に使われていますが、むしろ「衡平」の方が漢字の意味からして分かり良い感じです。
衡平の「衡」は、度量衡の一つで、もともと秤(はかり)を意味するものですから、昔の秤(はかり)・・天秤棒形式を想起すれば直ぐ分かる仕組みです。
現在でも法律用語では、「彼此権衡をとって」とか「利益衡量」などと言う熟語で多用されています。
我々弁護士バッジの意匠をご存知の方が多いと思いますが、中には天秤棒がデザインされているのです。
法律家の理想は、一方の利益に偏ることなく利害衡量をして妥当(衡平)な判断をすべきだという基本思想の現れです。
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