10/16/06

江戸時代の裁判制度9(火付け盗賊改)

目付け大目付は、旗本や大名の監察とその結果の処罰ですから、泥棒や強盗の捜査取り締まりの火付け盗賊改の仕事とは、(夜回りしても仕方がないでしょう)やることが当然異なってきます。
大目付の裁判権については、09/30/06「江戸時代の裁判5(吟味筋10)武士1」で既に紹介しましたが、殿中での事件などを裁くのが中心です。
火付け盗賊改の場合には、明治時代の違警罪即決例同様に、現場に近いその役所で即決処罰出来る制度だったのでしょう。
と言うよりも当時は、捜査と裁判の分離が想定されていませんでしたから、捜査・取り締まり機関イコール処罰機関でもあったでしょう。
この捜査機関がさらに分離専門化してくると、末端の捜査員・・例えば目明しなどの弊害ですが・・・その場で処罰するのでは弊害が大きくなってきます。
そこで、末端捜査員から中級へと段階的に捜査員のできる限度が定められ、平行して細かい段階的ヒエラルキーが出来ていき、上司の決裁・・・その手続として、一種の訴訟手続が、重厚化してきたのが訴訟法というものの先祖でしょう。
こうして重厚な手続になればなるほど、機動性に欠けるのは当然ですから、治安が乱れてくると、役に立たなくなってきます。
こうして古代に出来た令外官である検非違使庁同様に、火付け盗賊改のような現場即決型の取り締まり機関が必要になったのでしょう。
これが更に手を付けられないほど乱れて来たので、テロ弾圧・・軍事的色彩を持って生まれたのが、幕末の新撰組や見廻り組みでしょう。
その代わり、新しい制度では、映画でおなじみの長谷川平蔵のような奉行ないし奉行が直接目の届く範囲の側近が直接捜査、取締り、処分に当たらねばならなくなってきます。
(部下任せだと、また権限分掌の手続が必要になり、役人仕事になってくるからです。)
それで近藤勇や長谷川平蔵の、小気味良い活躍が、映画になり易いのでしょう。



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