10/15/06
監獄建築 の重要性1
こうした弊害を克服し,監獄改良,夜間独居房を主張したジョン・ハワード『監獄事情』(1777)の前後から,拘束施設・建物がどうあるべきかが学問として論じられるようになったようです。
こうしていろいろな意見が出てくるようになり、分房制で放射翼型の舎房配置をもつ近代監獄が登場します。
ベンサム J.Bentham(英・1748-1832)の提案したパノプティコン(panopticon)一望監視施設は,看守によって多数の受刑者を監視できるように,円形に配置された舎房の中心に看守塔を置いたものです。
私が、刑務所をいくつか見学した経験によると、これが今でも我が国で採用されているようです。
もちろん並行の校舎型もあります。
これら建築様式は,近代刑法における自由刑をどのように具体化するかをめぐる監獄運営についての論争とも結びついて行きます。
すなわち昼夜独居拘禁による真の改善・魂の救済をめざしたペンシルヴェニア制の独居舎房のみからなるものと,世俗的改善をめざすオーバン制における刑務所内工場と出役の便宜も考えた放射線状や電柱型の建物群配置との対立が生まれました。
後者が優勢となり,今日多く見られる工場と舎房を通路でつないだ平行配置が受け入れられていくのです。
わが国では,合衆国等で見られるようなガンタワーつきの二重三重の塀といったものはありませんが、ある程度服役者の種別による服役刑務所の分類はしているようです。
修習生のときに見学した府中刑務所(当時3億円事件の舞台として有名でした)の例ですと、入り口の事務棟から、服役棟へ行くのには地下道で繋がっていて、建物や廊下での出入りがないのには驚きました。
もちろんその間には真平らな芝生の庭があって、見通しが良く出来ているのです。
この刑務所は凶悪犯とか暴力団員が中心であるから、矯正よりは警備中心の施設であると紹介されました。
(30年以上前の経験ですから、今はどう変わっているかは知りません。)
ただし一般には逃走を防ぐ高い塀をもつ施設がありますが、戦後.塀をもたずフェンスで囲
っただけの交通刑務所や囲いのない開放施設なども造られるようになってきました。
千葉県市原市磯ヶ谷にある交通刑務所などはその例です。.
また,数千人を収容する大規模施設への反省から,処遇環境を重視したせいぜい数百人の小規模施設が理想とされることもあります。
さらに,市街地などで敷地が十分でなかったり,伝統的刑務所スタイルに地元の反対があるなどの場合は,ニューヨークなどでは高層のビルディングなども,都市型の刑事施設として出現しています。
10年程前にニューヨークの高速道路を走っていたときに、日本の高層マンションかと間違えるようなアメリカ型の刑務所がすぐ近くにありました。
監獄建築は,閉鎖的環境で時には数年以上にわたって全生活が営まれるなどから,単に矯正だけでなく、被収容者の健康維持の観点からも考える必要があります。
こうして、種々の監獄建築基準として舎房の大きさ・床面積や気積の規格が定められ、採光・通風といったことは衛生基準としても問題となって来ます。
国連の被収容者処遇最低基準規則(1955)では,居住設備(accomodation)として夜間独居の原則と共同寝室の場合の配慮(9),設備の保健性として気積,床面積,照明,暖房等(10),起居・作業場での通風,採光,照明(11),衛生(12)入浴設備(13)等が規定されるようになっています。
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