10/02/06
死刑執行(刑事訴訟法67)再審1
法務大臣は、第475条2項で、判決確定後6ヶ月以内に死刑執行の命令をしなければならないことになっていますが、この違反に対する制裁がないので、いわゆる訓示規定でしかないのです。
この期間を守らなくても何の法的効果も生じませんので、法務大臣によっては、死刑執行の印を一回も押さない人が結構います。
どうしても効果を生じさせたければ、法務大臣が命令しなくとも、一定期間経過で、命令があったものとして、執行する条文を置けばいいことです。
こうした条文を設けないこと自体から分かることは、立法者自身が、死刑の執行は「判決が確定してもなお、そう簡単に実行すべきではない」と言う暗黙の意識があるからでしょう。
命令書に押印しない大臣には、思想的に死刑に反対の大臣もいるでしょうし、ただ、何となくイヤだから先送りしているうちに内閣改造で任期終了する人もいるのでしょう。
(ここで言う反対とは、内心の思想であって、法務大臣として反対論を展開する人は、当然いません)
こうして死刑判決後、10年も20年も過ぎてからの執行が多いのです。
その結果、帝銀事件の平沢さんのように、執行の前に寿命で死んでしまう人が多くなります。
ただし、第475条2項ただし書きを見れば分かるように、法的には、再審請求が続いている限り執行が出来ないことになっていますから、死刑執行を免れるために再審請求を繰り返す人もいますので、法務大臣の責任ばかりでは有りません。
ちなみに裁判は、確定したら同じことを理由に蒸し返し裁判請求できないのが原則ですが、再審請求は、何回でも出来る制度になっています。
もちろん同じ事由であれば、直ぐに終わってしまいますが、それでも、その間は執行出来ないので、一安心と言う訳です。
私が、昔、刑事裁判修習していたときに、このような濫用的再審請求があって、私のついていた裁判官に事件が廻って来たことが有りましたが、過去の申立て記録もついてきていて、何回もそっくり同じ言い分でした。
却下だったか棄却だったかされると、上訴して、これも確定すると間を置かずに、すぐそっくり同じ内容(1言一句違わずに・・今で言えばコピーです)で申し立てを繰り返していたのです。
裁判所も可哀想だからと思うのでしょう、直ぐには却下しないで、一定期間置いて・・・職務怠慢にならない程度に延ばすだけ延ばして却下していました。
再審請求は「何回以降は、請求中でも死刑執行が出来る」という条文をおかずに、何回でも、繰り返しの請求を認めていること自体からも、法そのものに執行を少しでも待ってやって良いと言う意向が内在しているのでしょう。
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