10/05/05

専制君主制と官僚脆弱さ2(杜甫の場合)

杜甫の場合、岳陽楼に登った時の「登岳陽楼」と言う詩ですが、これは、
   「昔聞く洞庭の水、今登る岳陽楼」
というフレーズで始まる有名な詩で、教科書にも出てくるので皆さんご存知でしょう。
この詩の一節に
      「老病孤舟有り」
と自分の境遇を表現しています。
年老いて病気がちの自分の資産といえば、わずかに小さな舟が一隻だけしかないと言う意味でしょう。
杜甫は、このころ長江流域を小舟で移動していたのです。
(まさに南船北馬の世界です)
詩的表現と言うもので、事実ではないかもしれませんが、それにしても杜甫にはいつも生活に苦しむ句が入っています。
杜甫には、成都付近の水郷地帯での平穏な生活を歌った、私の大好きな良い詩がありますが、これには内職?の描写があります。
ご存知の方がいらっしゃるかも知れませんが、それ程有名ではないので紹介しておきましょう。     
     江村
     清江一曲抱村流       清江一曲、村を抱いて流る  
       中国の泥んこなのとは違って上流では清流なのでしょう。
       清流が一まがりして、村落が取り巻かれている情景で始ります。
        
     長夏江村事事幽       長夏江村事事幽(しずか)なり   
      長い暑い夏の(昼下がり?)水郷の村は、何事もなく平和に静かに時が流れて行く
  
     自去自来梁上燕       自(おのず)から去り、自から来たる梁上の燕 
     相親相近水中鴎       相(あい)親しみ相近づく水中の鴎(かもめ)
     のどかな風景そのものですが、水中の鴎と言う表現が妙に気になります。  
     何故、水上でなく水中なのでしょうか

     老妻画紙為棋局       老妻、紙に描いて棋局をつくり
         稚子敲針作釣鈎            稚子、針を敲いて釣鈎 を作る
         但有故人供禄米       但だ、故人禄米を供する有り
     微躯此外更何求      微躯、此の外に更に何おか求めんや

後半は、こののどかな情景の中で、妻は紙に将棋の線を引いて内職し、子供は釣り針を作っている日常生活を描いているのです。
このつつましい生活に友人から食料の援助がある(供禄米)喜びを書いているのです。



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