10/30/04
生活を楽しむ文化(浮世風呂と浮世床の違い)
いつものとおり余談になりますが、江戸文化とお湯は(茶の湯ではありません)切り離せないところがありますが、当時の江戸のお風呂は、今のような明るい銭湯や温泉のようではなく、真っ暗闇の蒸し風呂でした。(ガラスが日常品ではなかったのですから当たり前です。)
歌舞伎18番、「暗闇の丑松」は真暗闇の浴場を利用した復讐のための殺人場面から取った題名です。
また式亭三馬の滑稽本代表作の浮世風呂は、江戸市民が日常的に遊んでいた風呂屋を舞台にしていろいろな情景を描写したものです。
また最近の世界的な作品では、宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」と言う映画もこの系譜に連なるでしょう。
さらには、最近の温泉ブームは、その先祖帰りかも知れません。
江戸市民は、お湯の関係で蒸気に慣れ親しんでいたので、蒸気船や蒸気機関車を見ても直ぐに理解できて「おか蒸気」「蒸気船」だとかいろいろの翻訳語や川柳を作れたのです。
平和国家にするためには、構成員である国民もお湯に浸ってたるんでいるのが1番でしょう。
現在の温泉ブームは、江戸時代の風呂好きの先祖がえりの面もあるでしょうが、明治維新後130年経過でやっと平和を楽しむ気持ちに戻ったと言うことでしょうか?
話を戻しますと、江戸市民は落語や端唄、小唄、都都逸、俳諧、狂歌、川柳、お茶、あくびの稽古などを楽しんで、世の中の出来事を「洒落のめして」いたのです。
太平のねむりをさますじょうきせん、たった4はいで夜るも眠れず
ここで言う「じょうきせん」は、当時流行していた宇治の銘茶を上喜撰といい、ペリー提督率いる「4はいの蒸気船」に、驚いておちおち夜も眠れぬ国民の不安を、カフェインの強いお茶に引っ掛けて洒落のめしていたのです。
「上喜撰」ということばには、これをたしなむ上流階級の不安を表していて、「庶民には関係ないよ!」という意味もあるでしょう。
庶民は不安どころか、ごまアザラシを見に集まるかのように、物見高くペリー艦隊に押し寄せて、市まで立ったくらいですから。
商売人はたくましいと言うか、辛らつですよ!
武具馬具師、 亜米利加様と そっといひ
ちなみに、前掲の浮世風呂に似た題名に、喜多川歌麻呂作の浮世床という浮世絵シリーズがありますが、これはいわゆる春画シリーズですから、浮世風呂とは、まったく趣旨が違います。
いずれにせよ、文化が爛熟して平和を楽しんでいたと言う点では、根が同じかもしれません。
もちろん、ヤジさんキタさんのように旅行する人も多くいました。
当時の人にとっては、今の海外旅行みたいな気分だったでしょう。
東海道中膝栗毛は、こっけいを目的にしたものではなく本来は現在の旅行雑誌としての目的でかかれたもので、行程、各地の習慣(箱根以西で発達していた五右衛門風呂の入り方に至るまで)や、名物などが、面白おかしく書き込まれているのです。
旅行案内の本が売れるほど、当時すでに需要があったということです。
テロはやめられないとしても、その行動パターンは、文化に根ざしたものになるはずです。
そうだとすれば、江戸時代みたいに、時間がかかっても、「やわな文化」を育てて行けば、おのずから猿やイノシシが出たくらいで大騒ぎする国民性になるし、テロに走ったとしても「やることは多寡が知れている」ことになるでしょう。
わたしは、それでいいのじゃないかと思っています。
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