10/28/04

刑罰の目的4(自然犯と法定犯4)刑法19

談合などにかかわっているサラリ−マンは、もともと働き蜂ですから、刑務所で朝早く起こしたりして規則正しい生活習慣をつけさせたり、職業訓練をして勤労意欲を高める必要がありません。
今夏から政治問題になっている、橋本派の政治資金規正法違反事件での会計責任者も、多分真面目に働いてきた人でしょう。
このように、怠け者中心の自然犯と真面目人間中心の法定犯では、犯罪者の性質が違うのですから、これに対する刑罰も違いがあってしかるべきです。
彼らに対する自由剥奪刑(懲役、禁固など身体を拘束する刑罰です)の選択は、刑罰の威嚇力を利用しているのでしょうが、このように考えていくと、教育刑のあり方も一考を要します。
遊び人を目的にした刑務作業では、意味がないでしょう。
法定犯は経済的理由によるところが多いので、雇い主、経営者に対する抑止力は、罰金の高額化の外に自然人に対する体刑にあたる営業停止や、指名停止、免許取り消し処分の強化が有効です。
しかし、それだけでは、罰金は雇い主が払ってくれますし、営業停止も担当者・実行者に対する抑止力がありません。
そこで法定犯に対しても、自由剥奪刑の併科があるのですが、担当者個人に対する自由刑は、何を求めているのでしょう。
教育効果としては、会社や組織のためとは言え、犯罪に加担すればをすれば大変なことになると、思い知らせることくらいしかないでしょう。
俗に言うところの「一罰百戒」を狙ったものとしか考えられません。
そうだとすれば、これに対する刑罰内容も教育を基本としたものではなく、別のコースを考えるべきでしょう。
「いじめなければ意味がない」という訳ではありませんが、名古屋刑務所での虐待事件は教育刑の限界を感じた先駆的実験だったのでしょうか?
ところが、虐待を受けていたのは、マル暴関係者と言うのですから、本当はそうした真面目な動機ではなく、単なるいじめだったと言うことになります。
秘書給与詐取と言うことで、懲役刑になった元議員の手記が出ていますが、ただ刑務所で懲らしめ目的でひどい目にあわせていればいいというものでもありません。
現在では、刑罰の種類については、06/28/04「刑罰の種類 9 刑法11(懲役と禁錮、拘留)」前後のコラムで連載しましたが、自由剥奪刑は懲役、禁錮、拘留刑しかありません。
懲役が、旧来の「懲らしめ」と教育刑ばかりになっている現在では、新しく生まれて来た法定犯に対する刑罰としては有効ではありません。
本来は、禁錮刑が引き受けるべきでしょうが、現在では、禁錮刑は、殆ど用をなしていないのです。
新しい刑罰種類を考え出すべきかもしれませんし、当面法律改正まで出来ないとしても、行刑当局の工夫として、法定犯に対しては宣告刑が懲役刑であっても自然犯の懲役刑とは別のメニュゥを用意すべきでしょう。




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