10/28/03

特別縁故者(民法104)

相続人不存在の場合に財産管理人が選任される説明(8月2日民法98)から、理事とか代理の説明となり、さらには、総理大臣、明治時代の用語変更の説明から、教育改革に話題が移り、随分と横道にそれてしまいましたが、今日から再び民法の相続に話が戻ります。
相続人不存在の場合に、相続財産管理人が選任されると書いてきましたが、これまでの説明は債務超過の場合でしたが、もしも、財産がマイナスでなくプラスの場合、その財産はどうなると思いますか?
相続人がいないなら、誰のものでもないのかと言うと、そうではありません。
民法第959条で無主物は国庫に帰属することになります。

民法
第959条 前条の規定によつて処分されなかつた相続財産は、国庫に帰属する。この場合には、第956条第2項の規定を準用する。

ところで、相続権は、事実上の妻とか事実上子ども同様にしていたと言うだけでは、発生しないことは以前に説明しました。
そこで、内縁関係にあった配偶者、おもに妻のほうですが、夫が死亡すると生前に二人できづいた財産を夫名義にしていた場合、内縁の妻には一銭も相続権がなく、夫の兄弟などが全部相続してしまうことになります。
その場合は今の法律でもどうにもならないのですが、夫の身寄りがなくて、誰も相続人が現れないときに、国が取ってしまうのはあまりにもおかしいと言うことから、特別縁故者の相続権の規定が創設されたのです。
民法を見ましょう。

民法
第958条の2 前条の期間内に相続人である権利を主張する者がないときは、相続人並びに管理人に知れなかつた相続債権者及び受遺者は、その権利を行うことができない。
 
第958条の3 前条の場合において相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があつた者の請求によつて、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内に、これをしなければならない。

この条文は、昭和37年に制定されたものですが、このころから、核家族化が進展するようになってきたときです。
ただし、この当時の被相続人(死亡者)というのは、明治20〜30年代の人が中心でしたし、そのころの人は、子どもが4〜5人平均で、多い人は7人前後もいたのですから、兄弟が全くいない人や、いてもその子どもまで死に絶えている人というのは稀ですから、この法律が出来てもすぐ役に立つことは考えられません。
核家族化で、一人っ子が多くなったと言っても、昭和30年代に生まれた子どもが、平均寿命を生きて死ぬときと言うのは、さらに70年以上先になると言うものですから、政府も「どうってこたあない」と言う考えで法律を作ったのでしょう。
それでも、この法律があるので、ときどき自分がもらえるのではないかと相談に来る人がいますが、身寄りのいない人を世話してきたと言っても、いざとなって戸籍謄本で調べてみると、どこかに兄弟の子どもがいたりするものですから、今のところこの法律はあまり役に立っていません。
ただし、この法律のあるお陰で、最後を世話した人や、内縁配偶者が、相続しようとするときに、被相続人の兄弟の子ども達に相続放棄をしてもらって、財産を取得する法的方法が生まれたと言えます。
もちろん、戸籍上の関係者が、話の分る人たちであることが前提ですよ。
自分を守るためには、遺言書の作成が今のところ必須です。
私が10年程前に扱った事件では、奥さんが働き者で、しっかりしていて、株式投資などに努めて,昭和30年代初めからこつこつ買いためる一方でしたから、こうした買い方は、高度成長期には有効で、バブルころには結構な倍率で株式が膨らんでいたものです。
夫は葛飾柴又のトラさんを地で行ったような人で、しょっちゅう奥さんに始末書を取られては,こずかいを持ち出して遊んでしまう人で、仕事も長続きしない半遊び人です。
こうして奥さんが、戦後ずっと頑張って資産を残したのですが、2人には子どもがありません。
それでも彼女のほうが日ごろからだが弱かったので、自分が先に死ぬと彼女名義では夫が生活に困るだろうという気持ちで、自宅や駐車場をみんな夫名義にしていたのです。
ところが、寿命と言うものは分らないもので、ちょっとした病気から夫が先に死んでしまったのです。
しっかりした人でしたから、遺言書は作ってあったものの、先妻の子からの遺留分減殺による争いになってしまいました。
こう言う訳ですので,、子どものいない夫婦では、財産を誰の名義にしておくかがとても重要です。




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