10/25/03

教育改革21・・・・・寄付と所得税法1(税制の直接民主主義5)

教育に関しても、中央は、指導要領・要綱で事実上強制するばかりでなく、何にでも口出ししますので、地方の教育委員会は、何のためにあるのか分らないほどです。
公立の先生は、自分の意見を全く言わず、いつも中央の意向を窺いながら、失敗・失言のないように、小さくなっていないと校長や教頭には絶対になれないからと、世上まことしやかに言われています。
校長もうっかりしたことを発言すると、教育委員会本部詰になる出世は、出来なくると言われています。
こうして物言わぬ、言えぬ先生ばかり量産して、他方で、「主体性のある児童を育てるには?」などのテーマを掲げて、しょっちゅう教研集会で討論しているのは、ブラックユーモアです。
自主的な判断をしない先生ばかりを、何十年も量産してきたために、何をやるにも中央の意向ばかりを気にし、ゆとり教育まで画一的な教育になっているのです。
また、前回までのコラムで連載して来ましたが、地方自治体や各種補助金を求める民間は、担当役人のメガネに合わないと予算がつきませんので、自治と言っても名ばかりとなります。
そこで、こうした中間者を排除した究極の自治としての寄付が有用なわけです。
ところで、日本では寄付が少なくて、「寄付に頼るのは現実的ではない」と言う考えが一般的でしょう。
個人が、まともに蓄積できない累進課税が、大きな原因で、芸術家に対するパトロンが出来ない、大きな屋敷が維持できないなど、文化面での弊害があるのは、ご承知のとおりです。
結構、これは重要です。
器があってこそ、文化が育つのですから、マンションが少し大きくなって2dkから5dkになっても、そこからは文化が生まれないのではないでしょうか?
美術館が買うからいいとか、大企業が本社ビル用に買うからいいと言うでしょうが、いつも言うように、公務員や大企業の社員には、文化(教育も出来ないと言うのがこの連載のテーマです)を育てることは出来ないのです。
彼らは、評価の定まったものにしか、価値を見出せません。
過度な累進税率が、個人の蓄積を不可能にしていることは、平成15年10月21日のコラム「民間を豊かにするには5」で、所得税法、地方税法を紹介しながら説明しました。
今日のコラムでは、累進税と言う基本をいじらなくとも、或いは財政的には中立なままで、民間人が、寄付できる新たな税制の提案をしましょう。
現在の税制では、寄付した分だけ課税所得から控除するようになっていますが、私の提案は、こんなけちなことではなく、寄付金は所得税の一定割り合いまで、そのまま納税済み扱いするくらいの思い切った制度設計にすると言うものです。
寄付制度に詳しくない人のために少し説明しますと、今は、 政令等で認めた(ここでも役人が事実上決定します。)非課税団体等に寄付をすると、所得例えば、年収1000万のサラリーマンが10万円寄付すると、所得から10万円控除できて、990万円しか所得がなかったことになって、これから各種控除をして、たとえば、100万円を納税することになります。
私の提案は、こうした計算をした後に納めるべき金額から寄付金10万円を控除するべきだと言うのです。
一見似ているようですが、これは、事業家にとっては大きな違いです。
例えば飲食業などで3億円の売上があっても、家賃や従業員の給与、仕入れ代金などで本当の所得は微々たるものですから(10月20日のコラムで紹介したトヨタ自動車の決算の例を思い浮かべてください。売上金のわずか3%〜6%が利益でした)、例えば手取り収入が前例と同じ1000万円としてみましょう。
3億円の売上から、10万円引いてくれるのと、100万円の所得税から10万円引いてくれるのでは、全く価値が違うことが分るでしょう。
ここでちょっと寄り道ですが、寄付金に関する所得税法を紹介しておきましょう。

所得税法
(寄付金控除)
第78条 居住者が、各年において、特定寄付金を支出した場合において、第1号に掲げる金額が第2号に掲げる金額をこえるときは、そのこえる金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
1.その年中に支出した特定寄付金の額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の100分の25に相当する金額をこえる場合には、当該100分の25に相当する金額)
2.1万円
2 前項に規定する特定寄付金とは、次に掲げる寄付金(学校の入学に関してするものを除く。)をいう。
1.国又は地方公共団体(港湾法(昭和25年法律第218号)の規定による港務局を含む。)に対する寄付金(その寄付をした者がその寄付によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄付をした者に及ぶと認められるものを除く。)
2.民法(明治29年法律第89号)第34条 <http://www.houko.com/00/01/M29/089.HTM#034> (公益法人の設立)の規定により設立された法人その他公益を目的とする事業を行なう法人又は団体に対する寄付金(当該法人の設立のためにされる寄付金その他の当該法人の設立前においてされる寄付金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したもの
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
3.別表第1第1号に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄付金(前2号に規定する寄付金に該当するものを除く。)
令】第215条第216条第217条
3 居住者が、特定公益信託(信託法第66条(公益信託)に規定する公益信託で信託終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭は、前項に規定する特定寄付金とみなして第1項の規定を適用する。
【令】第217-2条
4 第1項の規定による控除は、寄付金控除という。」

今の税制議論は、控除ができるかどうか、またはその程度をどのくらいにするかと言うものでしかありませんが、私の考えは、納める税金を少しでも少なくしたいと言う節税の視点ではなく、税金を自分の好きなところ(一定の公的分野)に使いたいと言う権利の創設の提案です。
民主主義の具体化の主張ですが、すぐには理解し難いと思いますので、次回から具体的に書いていきましょう。




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