10/21/03

民間を豊かにするには(所得税法・地方税法と個人資産)5

個人資産の蓄積についてみて見ましょう。
平成14年12月30日からの55年体制の連続コラムで個人が如何にに税制上不利に扱われているかについて抽象的に書きましたが、今回は、具体的な税法の条文で紹介して行きましょう。
先ず所得税法でみて下さい。

所得税法(税率)
第89条 居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の5分の1に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に5を乗じて計算した金額との合計額とする。
330万円以下の金額 100分の10
330万円を超え900万円以下の金額 100分の20
900万円を超え1800万円以下の金額 100分の30
1800万円を超え3000万円以下の金額 100分の40
3000万円を超える金額 100分の50

この法律で、所得が3000万円を超えると、なんと50%が税金に持っていかれてしまいます。
それだけなら何とかなるのですが、次の地方税法で、先ず道府県民税として所得割りだけで3%が取られます。
さらに、市町村税(その他の特別税もあります)としてこれも所得割りだけで12%が待っています。
これで併せて65%ですが、個人事業主例えば、法人化していない八百屋さんとか弁護士には、さらに事業税5%が課せられます。
併せて所得の70%もの重税です。
以下地方税法もこの機会に紹介しましょう。

地方税法
第二章 道府県の普通税
   第一節 道府県民税
    第一款 通則
(道府県民税に関する用語の意義)
第二十三条 道府県民税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞ
 れ当該各号に定めるところによる。
 一 均等割 均等の額によつて課する道府県民税をいう。
 二 所得割 所得によつて課する道府県民税をいう。
 三 法人税割 法人税額を課税標準として課する道府県民税をいう。
第三十五条 所得割は、次の表の上欄に掲げる金額の区分によつて課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を区分し、当該区分に応ずる同表の下欄に掲げる標準税率によつて定めた率を順次適用して計算した金額(課税山林所得金額が七百万円を超える場合にあつては、当該課税山林所得金額の五分の一の金額を同表の上欄に掲げる金額の区分によつて区分し、当該区分に応ずる当該率を順次適用して計算した金額の合計額に五を乗じて得た金額)の合計額によつて課する。    
七百万円以下の金額  百分の二  
七百万円を超える金額  百分の三
2 前項の「課税総所得金額」、「課税退職所得金額」又は「課税山林所得金額」とは、それぞれ前条の規定による控除後の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。
(市町村民税の納税義務者等)
第二百九十四条 市町村民税は、第一号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額によつて、第三号の者に対して均等割額及び法人税割額の合算額によつて、第二号及び第四号の者に対しては均等割額によつて課する。
 一 市町村内に住所を有する個人
 二 市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有しない者
 三 市町村内に事務所又は事業所を有する法人
 四 市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施
第二款 課税標準及び税率
(個人の均等割の税率)
第三百十条 第二百九十四条第一項第一号又は第二号の者に対して課する均等割の標準税率は、次の表の上欄に掲げる市町村においてそれぞれ当該下欄に掲げる額とする。市町村税率 
  1   人口五十万以上の市  年額  三千円   
  2   人口五万以上五十万未満の市  年額 二千五百円   
  3   1 及び 2  の市以外の市並びに町村  年額   二千円
(変動所得又は臨時所得がある場合の税額の計算)
(所得割の税率)
第三百十四条の三 所得割は、次の表の上欄に掲げる金額の区分にとつて課税総所得金額又は課税退職所得金額を区分し、当該区分に応ずる同表の下欄に掲げる標準税率によつて定めた率を順次適用して計算した金額の合計額と、当該区分によつて課税山林所得金額の五分の一の金額を区分し、当該区分に応ずる当該率を順次適用して計算した金額の合計額に五を乗じて得た金額との合計額によつて課する。    
二百万円以下の金額  百分の三 
 二百万円を超える金額  百分の八  
七百万円を超える金額 百分の十二
2 前項の「課税総所得金額」、「課税退職所得金額」又は「課税山林所得金額」とは、それぞれ前条の規定による控除後の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額をいう。
   第二節 事業税
    第一款 通則
(事業税の納税義務者等)
第七十二条 事業税は、法人の行う事業並びに個人の行う第一種事業、第二種事業及び第三種事業に対し、法人にあつては所得及び清算所得又は収入金額、個人にあつては所得を課税標準として事務所又は事業所所在の道府県において、その法人及び個人に課する。
第72条の22
1〜5項省略
6 個人の行う事業に対する事業税の標準税率は、左の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定めるものとする。
 一 第一種事業を行う個人 所得の百分の五
 二 第二種事業を行う個人 所得の百分の四
 三 第三種事業(第四号に掲げるものを除く。)を行なう個人 所得の百分の五
 四 第三種事業のうち第七十二条第七項第四号、第五号及び第七号に掲げる事業を行う個人 所得の百分の三

以上のとおりで、個人所得は所得割だけで70%も取られてしまいますので、年間1億円の課税所得(売上でなく経費を払った純利です。正確には各種控除した後です。)が有っても、手取り収入は3000万円しかならず、さらに固定資産税、自動車税その他多種多様な税金を負担しますので、自由に使えるお金は、ごく少なくなります。
課税所得で1億と言えば、野球選手でもかなりの有名選手ですし、俳優でもそうですから、地位相応の外車を乗り回したり、格好つけて高い寿司屋に行ったり、高級洋服やバッグを持っていたりする事が多いので、人生が終わってみると、自宅が残ってればいい方で、うっかりすると何も残らないと言うところです。
55年体制のコラムでも書きましたが、資本所得以外に、個人の技能や努力で、課税所得が3000万円を超えるのはその道の一握りの成功者だけです。
われわれ弁護士でも、課税所得3000万円を越える人は、多分数えるほどでしょうし、しかも、3000万超ぎりぎりに集中している筈です。
これに加えて、課税所得が3000万超の高額所得者になるには、弁護士になって5年や10年では無理ですから、こうした時期は、ほんの1時期しかないのです。
仮に、課税所得3000万円の人が、7割税金を払うと、(7割と言うのは前記のとおり所得割だけであって、その他に細かい特別税が結構有ります。)使えるお金は、900万しかなくなります。
平成14年12月30日から連載した55年体制のコラムでも書きましたが、事業主には、厚生年金や、失業保険がないために、民間の生保との間で、結構高額の所得保障保険や、個人年金を掛けなければなりませんし、(しかも、これらは、税法上控除してくれないのです。)ローンや、子どもの学費など払っていると、100万円の寄付でもどうかな?と疑問が出る所以です。
こうして、いまの税制では、かなり成功したと思われる人でも、自分の子どもの教育と家と老後資金の蓄えに精一杯で、まとまった寄付をするどころではないことが分るでしょう。






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