10/11/03
教育改革16・・・・・明治政府と学制改革(私立大学)
帝国大学令ばかりが有名ですが、大学令が出来て、公私大学の基本法になったのです。
以下に条文を紹介しておきましょう。
大学令(大正7年勅令第388号)
第一条 大学ハ国家ニ須要ナル学術ノ理論及応用ヲ教授シ並其ノ蘊奥ヲ攻究スルヲ以テ目的トシ兼テ人格ノ陶冶及国家思想ノ涵養ニ留意スヘキモノトス第二条 大学ニハ数個ノ学部ヲ置クヲ常例トス但シ特別ノ必要アル場合ニ於テハ単ニ一個ノ学部ヲ置クモノヲ以テ一大学ト為スコトヲ得
- 学部ハ法学、医学、工学、文学、理学、農学、経済学及商学ノ各部トス
- 特別ノ必要アル場合ニ於テ実質及規模一学部ヲ構成スルニ適スルトキハ前項ノ学部ヲ分合シテ学部ヲ設クルコトヲ得
第三条 学部ニハ研究科ヲ置クヘシ
- 数個ノ学部ヲ置キタル大学ニ於テハ研究科間ノ聯絡協調ヲ期スル為之ヲ綜合シテ大学院ヲ設クルコトヲ得
第四条 大学ハ帝国大学其ノ他官立ノモノノ外本令ノ規定ニ依リ公立又ハ私立ト為スコトヲ得
第五条 公立大学ハ特別ノ必要アル場合ニ於テ北海道及府県ニ限リ之ヲ設立スルコトヲ得
第六条 私立大学ハ財団法人タルコトヲ要ス但シ特別ノ必要ニ因リ学校経営ノミヲ目的トスル財団法人カ其ノ事業トシテ之ヲ設立スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 前条ノ財団法人ハ大学ニ必要ナル設備又ハ之ニ要スル資金及少クトモ大学ヲ維持スルニ足ルヘキ収入ヲ生スル基本財産ヲ有スルコトヲ要ス
- 基本財産中前項ニ該当スルモノハ現金又ハ国債証券其ノ他文部大臣ノ定ムル有価証券トシ之ヲ供託スヘシ
第八条 公立及私立ノ大学ノ設立廃止ハ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ学部ノ設置廃止亦同シ
- 前項ノ認可ハ文部大臣ニ於テ勅裁ヲ請フヘシ
第九条 学部ニ入学スルコトヲ得ル者ハ当該大学予科ヲ修了シタル者、高等学校高等科ヲ卒リタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者
- 入学ノ順位ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム」
ところで、大学令は、私立にも適用されるものですが、第1条で帝国大学令同様に「国家ニ須要ナル学術ノ・・・・国家思想ノ涵養ニ留意スヘキモノトス」と規定されて、私立大学までもが、帝国大学同様の目的が強制されるに至りました。
慶応義塾や、早稲田、中央、同志社などの私立は、それぞれの建学の理念を持って政府とは別に発達して来たものですが、公認のお墨付きを求めていたことから、専門学校として公認され、次に、念願の大学令によって帝国大学と同じく、大学と認めてもらうことになったのですが、その代わり、政府の国家思想に取り込まれて行くことになりました。
名前だけ与えて、私立ですから税金も使わずに、国家の思想教育に取り込んでしまったのですから、いつも政府は狡猾ですね。
私立大学が政府に取り込まれずに、自由に思想教育が出来ていたら、日本は、公務員型の国立大卒と、自由志向の民間型の混在した幅のある国になっていたのではないでしょうか?
アメリカの例で考えますと、今でも公立のコミュニテイカレッジは言うに及ばず、州立大学は、有名私立大学の下位に位置付けられています。
もともとアメリカでは、私立大学が先に発達していて、すごくお金がかかるので、庶民には高嶺の花でした。
1944年にGI Bill(Serviceman's Readjustment Act)によって兵隊に行けば、庶民・黒人層にとって夢のまた夢であった大学に行けるようにしたのが、州立大学が各地に出来たり発達した始まりと言われていますよ。
第2次大戦後は、アメリカの黄金時代であったことは、誰しもが認めるところでしょう。
そういう時代には、つらい兵隊に志願する人はいなくなるのが普通です。
こうして私立を補完する大学として1950年代から、発達充実したものですから、日本の住宅の例でいえば、戸建て住宅に対する都営、県営、市営住宅みたいな役割となっているのでしょう。
教育に限らず、民間で出来ることは民間に任せて、民間で出来ないところだけを、公営で補完するのが自由主義社会と言うものですし、また、結果的に無駄がないだけでなく、社会(窮屈にしない)のためになるものです。
政府がいっぱい税金を取って、その代わり個人個人の家まで、全部政府が建てくれたり、みんな補助金をもらって政府の考える規格住宅しか住めない社会が来たら、どうでしょう?
住宅に困る人に政府が供給するのはいいことですが、本来お金のある人にまで、(税金を取りすぎて)政府が規格住宅を供給(強制)するべきではありません。
ところが、江戸時代から、独立独歩であった筈の私立の各学問所が、大学として公認された代わりに、東京帝国大学を頂点とするピラミッドの一部分となってしまったのは、日本のために誠に残念なことです。
今の私立大学や私立高校は、どこも東大や名門県立高校の縮小版見たいなところばかりで、(志望者も東大に入れないから・・・大学にと言うパターンです。)これでは、何のために私立があるの?(全部公立にするよりも税金を安くするためだけか?)と言いたくなります。
その淵源は、この大学令の受け入れにあったのです。
大学と名乗るためには、「どのような監督でも受け入れる」と言う志の低さに、今更ながら、驚いてしまいますが、その当時は、長年干され続けていて、受け入れるしか仕方なかったのかも知れません。
最近発達したいろいろな塾が、政府公認になって、その代わり規制を受けるようなことにならないように望んでいます。
NPO,やNGOも、政府の公認になって活躍できるのはいいのですが、補助金を貰ったり、監督を受けるようになると、却って駄目になってしまいはしないかと、他人ごとながら、私はびくびくしています。
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