10/01/03
地方自治と人材2(憲法37)
ちなみに、明治の用語変更で、国家公務員の中で、おおむね旗本・直臣にあたる役人を官僚と言い、その他の下級国家公務員や、陪臣である地方公務員を吏員と言うようになり、両者をあわせて、官吏と言うようになりました。
国家公務員、地方公務員という名称は、「公僕」であって「天皇の臣」ではなくなったという意味で使用されるようになったものですが、今でもマスコミは、「官民共同で推進」とか「官民格差」という言い方を好みますが、戦後憲法下では、官民と言う区分けは言葉の意味では相応しくないでしょう。( 思想的には憲法秩序を否定する立場でしょう)
その意味では、「裁判官」と言う名称もおかしなものだと言えますね。
現在国民の裁判参加が問題となっていて、その参加する国民を、裁判員と一般的に呼んでいますが、公務員である裁判官も公僕であると言う意味では、同じく裁判員と称するのが正しいように思いますが如何でしょうか?
公務員である裁判官も同じく1票の議決権しかない単なる専属の人 (せいぜい議事進行役)と言うだけのことなのに、何故、裁判「官」と言わなければならないのか不思議です。
ただし、裁判官と言う用語は、憲法に明記されていますので、これを使うこと自体は、憲法秩序に違反とは言えませんが、これからは、なるべく、そうした言い回しは止めていくべきだと思います。
憲法制定時には、地方公務員法もなかったので「吏員」と表示したのでしょうが、その後憲法の意を受けて公僕としての公務員法が出来たように、裁判官,検察官なども、法律作成段階で公僕らしい名称に変えるべきだったのではないかということです。
そこで憲法に戻りますと、憲法第93条2項の法律で定める「その他の吏員」と言うのは、首長(都府県知事、市町村長)以外の地方公務員のこととなります。
従って、法律で定めれば、(と言うよりも憲法の考え方では、それが原則なのです)知事独りでなく、その他の副知事や重要部局のトップも一緒に選挙で選任するように出来るのです。
この範囲をどこまでにするかまで、憲法に規定するのは、適当でないために具体的な事情に合わせて法律に委ねたために、地方自治を最小限にしたい政府の思惑で、1人も公選しないことになってしまいました。
正確に言うと、「誰も公選しない」と決めれば憲法違反でしょうが、公選する「吏員」を決める法律を国会で作らない、サボタージュで今日まで来てしまったのです。
副知事などは、議会の承認制にしているから民主的だと誤解している人がいますが、とんでもないすり替えです。
議院内閣制をとっている政府でさえ、総理は閣僚全員を自由に任免できて、国会の承認を必要としていないことは、総理のコラムで紹介しました。
首長に関しては、直接公選が憲法で明記されており、その公選を実効有らしめるために、「その他の吏員」も「直接これを選挙する」と憲法で明記した以上は、総理と閣僚の関係に匹敵する程度の部局長までは、公選にするべきでしょう。
議会の同意にかからせる地方自治法は、憲法の骨抜き(場合によっては、実質的な違反)以外の何ものでもありません。
地方自治法を紹介しておきましょう。
「第3款 補助機関
第161条 都道府県に副知事1人を置く。但し、条例でこれを置かないことができる。
- 市町村に助役1人を置く。但し、条例でこれを置かないことができる。
- 副知事及び助役の定数は、条例でこれを増加することができる。
第162条 副知事及び助役は、普通地方公共団体の長が議会の同意を得てこれを選任する。
第163条 副知事及び助役の任期は、4年とする。但し、普通地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる。」
今回の自民党総裁選挙を見ても、青木さん達自民党の多数は、小泉総理の政策に反対であるが、党首は総選挙の顔になるので、民意に従って選任しようとする露骨な選挙対策が語られています。(選挙後は、法案成立に反対すると言うのでしょう?)
こうした自民党の動きをみていると、議員個人個人になると、政策よりも、政治献金の多寡、情実や、地縁等々の非合理的要素で選任される確率が大きすぎて、民意を反映しなくなっていることを自白しているようなものではないでしょうか?
民意反映のためには、直接公選こそ意味があることは、2度に亘る長野県知事選挙の結果や、各地の住民投票で、議会が民意とかけ離れている実態からも明らかになっているところです。
長野県知事の場合、県の幹部職員が、挨拶まわりした知事の名刺を、その目の前でへし折ってしまったと言うのですが、それでも知事はその職員を処分すら出来ないのです。
こんなことでは、せっかく公選された知事が、自分の政策を役所内で貫徹することさえ出来ません。
以前から、書いていますが、知事1人だけの公選では、民意を反映しない議会との対抗上、手足をもがれた鳥のようで無理が生じているのですから、「その他の吏員の直接公選制」は、地方自治の確立のためにも、必須のものだと思いますが如何でしょうか?
そうして、直接公選は、憲法が予定しているのに、政府が嫌がって、この法律を作らないだけのことなのです。
地方自治定着を、本当に図るには、副知事どころか部局長まで、直接公選にするか政治任命にして、首長の権限を強化する必要があります。
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