10/29/02
日本経済の変化と法律のあり方(会社更生法・借地法など)10
国民がこぞって、もの不足を体感していた時代には、折角の大企業を潰して、設備その他を全部取り壊すのはとてつもない無駄と思えた事でしょう。
しかし現在では、やっていけなくて、デパートやショッピングセンターから撤退する企業の古い店鋪設備をそのまま温存していたのでは、そのデパートまで潰れてしまう時代です。
撤退する店鋪には、設備全部を撤去してもらって、新機軸で展開する企業に出店してもらいたいのが現在社会です。(買い取り請求する企業は殆どないと思います。)
店鋪に限らず、普通のアパートでも同様です。
今どき、出て行く人が取り付けた古い棚などを、買い取れと言われたら、アパート経営者は困ってしまうでしょう。
こうしてみると、借地法・借家法その他、窮乏の時代に作った法律が、現在の供給過剰時代に合わなくなっている事がわかると思います。
こうした時代の変化に合わせて、平成になって出来た借地借家法は一定の場合に、買い取り請求権を行使出来ない仕組みになっています。(但し、現在も借家法や借地法が併存していますのでお間違いのないようにして下さい。)
この法律制定時に、弱者切り捨てだといってお決まりの反対運動が有りましたが、前記のように、(私の考えのように)新法制定の本質は、ものあまり時代に、買い取り請求権を保護するのは時代錯誤だと言う事だとしたら、反対運動は、時代錯誤だったと言えるでしょう。
会社更生法も同様で、会社丸ごとスクラップアンド、ビルドの時代が来ているのですから、効率の悪い企業を、温存するのは間違っているのです。
会社更生法は、一旦競争に破れて、出場資格のなくなった企業にハンデイを与えて、再出場を認めようと言うもので、心情的には恩情主義、経済的には勿体無いと言う観念の上に成り立っているのですから、現在の日本では既に、本来的使命を終えているのです。(前記の例外的事象だけでは寂しいですね)
それなのにこの利用者が多いどころか更に拡張して、経営者がやめなくても良い民事再生法まで作ってしまうのは、単なる悪用を通り越して、悪のりと言った方が良いかも知れません。
今どき更生法の適用申請をするのは、借家法で保護されていると言って、撤退する出店業者が、借家法を盾に古くて客を呼べなくなった内装設備の買い取りを、デパートなど(更生法では国民が被害者です。)に要求しているようなものです。
現在では、デパートやショッピングセンターのテナントが、撤退に際して、自分の施した設備を買い取ってくれなどと言う事は殆ど聞かれませんが、会社更生法どころか、経営責任を取らなくてよい再生法まで制定させて、救済を要求するのは(出来る)何故でしょうか?
このような事を認めていると、日本は、不良設備や不良社員ばかりになってしまいませんか?
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
